レターの内容は、以下のEBRDの環境政策違反を指摘しました。(訳はFoEJ)
【EBRDの環境審査は、EBRDが融資する事業が環境面で健全に実施されるかどうか立証するために行われる。プロジェクトの事業主体は融資審査にEBRDが必要と判断するすべての情報を提供する義務を負う
(EBRD環境政策より)】
→EBRDはすでに3年以上の審査期間を行っているにもかかわらず、SEICの環境情報の扱い方は非常に問題があり、融資機関やステークホルダーが事実を知ることを妨げ、環境情報など書面に記載されている内容と実際の開発現場との間に大きなギャップを作り出している。
【環境行動計画(アクションプラン)はEBRDと事業主体の間で合意され、
契約は銀行に対する法的拘束力を持つ・・・アクションプランはEBRD事務局が最終的な審査を終える前に銀行が必要と認める内容となる必要がある(EBRD環境政策より)】
→サハリンエナジーはすでに希少・絶滅危惧種である鳥類への最低限の緩和策(ミティゲーション)である公約を違反しており、取り返しのつかない影響を与えた。
【EBRDは、事業が国が義務を負う環境における関連条約や合意に反することが環境審査中に明らかになった場合、融資は行わない(EBRD環境政策より)】
【EBRDは生物多様性における自然資源(野生生物、漁業資源、森林資源)の管理や持続可能な利用に関して予防原則を支持し、活動においてセーフガード(保護策)の取り入れ、可能な限り自然生息地やそれが支える
生物多様性の強化を図るよう努める(EBRD環境政策より)】
→日露渡り鳥条約では生息環境の保全が締結国の努力義務になっているのに加え、チャイボ湾周辺はラムサール条約の基準を満たすエリアであり、また重要鳥類生息地(IBA)にも指定されている。サハリンIIが環境面において、国際基準を満たしていないのは明らかだ。
国際協力銀行(JBIC)を始め、米・英国の融資機関は独自の環境ガイドラインをもっていますが、EBRDの環境政策を「参照」することになっているため、EBRDの政策を中心に取り上げました。
ちなみに、EBRDのウェブに札幌での会合の議事録が掲載されていますが(英語)、EBRDもSEICの発言を受けて、「すでにチャイボでの建設工事は鳥類のいない冬場に終了した
(Obviously we should note that the Chaivo crossing has already taken
place this winter and of course in the absence of birds) という発言をしています。
www.ebrd.com/country/sector/natural/projects/sakhalin/consult/sapporo.pdf
(p27)