サハリンU石油・ガス開発事業
サハリンエナジー社に対し、会合のあり方について改善を要請
サハリンU石油・ガス開発事業について、事業者であるサハリンエナジー社は、10
月12日、13日に日本での会合開催を計画しました。しかし、その会合のあり方は、
サハリンエナジー社が過去に日本で行った会合と同様、「透明性」「説明責任」
「参加の自由」に著しく欠けたものでした。FoEJapanは、サハリンエナジー社に対して9月24日
にレターを提出し、会合のあり方の改善を要請しました。
東京および北海道で計画されている
10月の会合についての要請
サハリンエナジー・インベストメント社
最高経営責任者 Ian Craig 様 広報渉外マネージャー Matthew Bateson 様
日本向広報・渉外担当 成瀬 正美 様
2004年9月24日
サハリンエナジー・インベストメント社(SEIC)が東京と北海道で2004年10月12日、13日に予定しているサハリンU石油・天然ガス開発事業の説明会に関して、深い懸念をお伝えします。
まず、今回の会合がサハリンU事業に関する日本での「第3回目の説明会」になると招待状に書かれていることに驚きました。SEICと日本の関係者の間に、定期的な会合がもたれているという合意はありません。このようなSEICの一方的な解釈は納得できません。ここでこれまでの経緯を明確にする必要があるようです。
これまでにSEICが日本の関係者に提案してきた「会合」は、透明性、説明責任などが欠けており、根本的に以下のような大きな問題がありました。
(日本のステークホルダーとの協議の拒否)
・ 同プロジェクトによる自然環境や漁業などへの様々な影響が指摘されており、地理的・環境的に密接な関係
を持つ日本、特に北海道への影響は存分に考慮される必要がある。しかし、SEICは日本の関係者をステーク
ホルダー(利害関係者)とみなしておらず、これまでに適切な「協議」が行われた会合は一度も開催されていな
い。
(会合の非公開性)
・ 会合開催の情報は、SEICが招待した一部の関係者に限られている
・ 録音・録画などによる正確な議事録作成の拒否
・ 会合のメディアへの公開の拒否
(形式やプロセス、会合の目的の不明確さ)
・会合の形式やプロセス、目的はSEIC独自で決定しており、関係者への協議は全く行われず、共有されていな
い。 (会合で話し合われたことを事業へ反映することを拒否) SEICの広報渉外マネジャーによる「日本での協
議を通じて、緩和策を取ることはあっても事業の変更を考慮するつもりはない」という発言があった。影響を回避
または最小化されることが重要であり、深刻な影響を避けるためには事業の変更のみが緩和策となりうる場合
があると思われるが、SEICがそれを認めないのであれば、会合を持っても、その結果が事業に反映されず、問
題の具体的な解決・改善につながらないのであれば、意味はないと思われる。
(日本の関係者からのレターに対する公式な返事を拒否)
過去に3度にわたって書簡「ESHIAに基づく協議に関する要望(2003年6月)」、「ロシア・サハリンU石油天然
ガス事業に関する要望書(2003年7月)」、「東京および札幌において計画されている9月の会合について( 2003年
9月)」を送付し、SEICの対応・考えについての説明を求めた。しかし、正式な回答が届いたことは一切ない。
(SEICの漁業関係者の質問に対する説明責任を欠いた姿勢)
SEICで昨年9月に行われた会合の際「アニワ湾への土砂投棄の詳細は決まっていない」と説明したが、その
直後の10月にSEICは漁業関係者に何の説明もないままアニワ湾への土砂投棄を行った。
こうした状況のもと、SEICとの建設的な議論は望めないと判断するのは当然のことではないでしょうか。結果
、 4月に計画された会合に、我々の多くが参加しなかったのはご存じの通りです。
こうした過去のいきさつは一切無視されたまま、今回の会合の案内にはまたしても、会合に参加するのは招
待者のみで、録音・録画は禁止、メディア非公開ということが書かれてあります。SEICは自社のホームページで
過去の日本での会合の記録を掲載していますが、おかしなことに全ての会合の記録が掲載されているわけでは
なく、また掲載内容も参加者の確認を得たものではありません。これでは、自分たちに都合の良い記録だけ
掲載していると判断されても仕方がないのではないでしょうか。
我々は会合が有意義なものになるのであれば、参加する意思はあります。そのためには以下の点を明確に
するし、双方でそのプロセスを確認・検討する必要があります。この質問・要請に対し、公式な回答をいただける
よう要請いたします。
(今回予定されている会合の参加者の範囲について)
1.一部の招待者に限らず、日本市民、漁業関係者、専門家、NGOなどすべての関係者が参加できるよう要請
する。そのための幅広い広報を行う。
(記録の作成方法)
2.詳細な議事録は、会合の透明性を確保し、議論の内容を参加者以外にも共有するため、また議論の継続性
を保つために必要。録音・録画が可能となるよう要請する。
(メディアへの公開)
3.より多くの人々に同プロジェクトの環境・社会配慮について知らせるためにもメディアへの公開は必要。メディ
アへの公開が確保されるよう要請する。
(情報公開)
4.関係者がSEICと直接意見交換できるよう、事業の関係書類が日本語で公開される必要がある。少なくとも、
日本で提起されている諸々の懸念に関する関連書類や資料を公開することを要請する。
(事業計画への反映)
5.会合で話し合われたことは事業に取りいれられる必要があるが、SEICにはその意志があるのか。また会合に
はSEICから、内部での意思決定に関与できる、責任者は出席するのか。会合の結果が、事業に反映される
ように要請する。
国際環境NGO FoE Japan
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