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国際協力銀行へ援助拡大自粛を求める要望書
2001年12月10日

国際協力銀行(JBIC)総裁
篠沢 恭助 殿

CC:JBIC理事

 我々は貴団体がロシア極東にあるサハリン島沖合いでのサハリンU石油開発プロジェクト第2期を支援しようとしていることに懸念を抱いている。オホーツク海は世界でも有数の生態系が豊かな海である。極東ロシア住民にとって、蟹、海老、タラ等の豊かな漁場であるオホーツク海での収穫は生活の糧なのだ。実際、ロシアで獲れる海産物の70%がオホーツク海で収穫されており、極東ロシアの経済は長らくこの健全な漁場に依存してきた。オホーツク海沿岸は、他の北太平洋地域では減少している、活きがいい野生の鮭の産卵場所になっている。サハリン北東部周辺の海域は絶滅の危機に瀕しているオホーツクコククジラの生息地でもある。それにも関わらずサハリン島北東部沿岸の新しい沖合い石油開発ではオホーツク海とその沿岸のリスクが非常に高くなっている。
 多くの組織が誠意を持ってサハリンU石油開発プロジェクトの初期段階に携わり、現在もこのプロジェクトを注意深く監視している。我々は多国間開発銀行と、輸出信用機関(ExportCreditAgencies)が支援したサハリンU第1期での環境、社会、経済的誓約の多くが達成されていないと考えている。
 サハリンUプロジェクトに関する環境、社会、経済的問題は次の点である。
● Nivkh先住民にとって主要な食物であるタラやニシンの急激な減少をはじめとして、漁獲量が減少している。また
  政府機関や社会に対して関連環境調査情報を提供するという約束が果たされていない。
● 社会的関心である環境情報へのアクセスが不十分であり、公聴会で公約したにもかかわらず調査に透明性を
  欠いている。
● 掘削時の汚泥を海洋投棄することによって甚大な被害が出る。また最高の環境保護をし、可能な限りの最高技
  術を採用し、環境被害を最低限に留めるために最適な技術を使うという約束が果たされていない。
● 「原油流出事故対策計画書」改定は非常に不十分であり、原油流出が連続的に起きたにも関わらずこれを防ぐ
  努力が不十分である。国際的専門家達が再調査し、提案が自由にSEIC社に対して出され、この計画が時代に
  沿うように強化されるべきであった。
● 連邦政府、地域、そして地元民がそれ相当の持続的で長期的な利益を受けられるという約束にもかかわらず地
  域・国家の経済利益が少ない。
● 生産分与協定(PSA)がロシアの環境法に違反している。
● 韓国‐オホーツクコククジラを保護するロシア国内の法律と国際協定の下での責任を放棄している。
 我々は再考を促すために、これらの事柄について詳細に記したメモを添付した。これは、このプロジェクトの主催者であるサハリンエネルギー投資会社が環境・社会面での共同責任においてお粗末なやり方をしてきたことを証拠づけるものである。この記録から鑑みても、貴団体はこれらの問題が解決するまでいかなる手段でもっても次段階の援助をするべきではない。
 我々は次の事が解決するまで、いかなるサハリンU石油開発プロジェクトの拡大援助も自粛することを要求する。サハリンエネルギー投資会社は、
● 現在のニシンやサフランタラの漁量の回復など、漁場の健全性と生存性を保障すること。また、政府機関や社
  会に対して十分かつ即時的な調査データを提供すること。
● サハリンUプロジェクトに関する全ての情報を事前に提供すること。その中には、生産分与協定(PSA)、産業安
  全宣言、年間環境統計、漁業、環境、コククジラに関する全ての調査レポートを含む。
● 環境面で最適であり、世界中で採用されている「ゼロ排出」を遂行して、堀削後の汚泥を100%再注入すること。
● 原油流出防止と対応基準を、現在アラスカや北海で適用されているものと同等かそれ以上のものにすること。
● 環境法の権利がPSAにおいても保証されるように、PSAを修正すること。透明性のある評価システムを提供し
  ロシア政府とサハリン島の住民に対して十分な利益を保証すること。
● 国際的に絶滅の恐れがあると認知されているオホーツク―韓国コククジラの存続を保証すること。
 貴団体の今後の対応に期待する。
Dmitry V. Lisitsyn, Chair and Nataliya Barannikova, Marine Program Coordinator
Sakhalin Environment Watch, Yuzhno-Sakhalinsk
Alexey V. Yablokov, President
Center for Russian Ecological Policy, Moscow
Anton Semenov, Coordinator, Living Seas Campaign
Initiative for Social Action and Renewal-Russian Far East, Vladivostok
Anatoly Lebedev, Director
Bureau for Regional Outreach Campaigns, Vladivostok
Olga Yakovleva, Director
Legal Center "Rodnik," Moscow
Olga Chernyagina, Executive Director
Kamchatka League of Independent Experts, Kamchatka
Gennady Smirnov, Chair
Kaira Club, Chukotka
Vasily Solkin, Chair
Center for Defense of Wild Nature "Zov Taigi," Vladivostok
Elvira A. Grischenko, Executive Director
Magadan Center for the Environment, Magadan
Vladimir P. Zakharov, Editor
Forest Bulletin, Moscow
Alexey S. Vakhrin, Vice Director
Northern Pacific Fund, Kamchatka
Valery P. Kochetov, Executive Director
Independent Defense, Kamchatka
David Gordon, Associate Director
Pacific Environment, Oakland, California, USA
Bruce Rich
Director, International Program
Environmental Defense, USA
Jon Sohn
ECA Campaign Coordinator
Friends of the Earth International
Gary Cook, Director
Baikal Watch, Earth Island Institute, USA
Tokiharu Okazaki, Director of Programs
Friends of the Earth Japan, Tokyo

(翻訳 八田 恵理子)
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