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EBRD、環境問題を理由にサハリンU石油・天然ガス事業への融資判断を延期
  MosNews
2005年6月21日


欧州復興開発銀行(EBRD)は、ロイヤル・ダッチ・シェル率いるサハリン・エナジー社がロシア極東で行っているサハリンU石油・天然ガス事業への融資判断の時期の延期を決定した。ロシア内外の様々な団体から挙げられている環境への懸念が理由だ。

6月20日付のロイターによると、EBRDのスポークスマンは「融資判断のプロセスは予定よりも遅れており、いくつかの問題が確認されている。EBRDはこれらの問題をサハリン・エナジー社に提示し、解決策を協議している」と述べた。また、「すべてのチェック項目が確認されれば、初夏にも融資に関する公聴会を行う予定だったが、時期はずれ込んでいる。いつ次の段階に進めるかは未定である。」と述べた。

EBRDが融資を承認しなければ、120億ドルと試算されるサハリンU第2フェーズの費用のうち、50億ドルの融資パッケージの枠組みが崩れる。シェルにとって、サハリンII事業は石油の備蓄を増やすために欠かせないが、EBRDは、環境政策の遵守状況に満足していない。

サハリンII事業は、サハリン島沖合いの広大な地域の開発も含んでいる。石油とガスを陸上へ運ぶ海底パイプラインは、絶滅の危機に瀕するコククジラの採餌域の周辺に敷設される。同事業はこの他にも、多大な費用超過など様々な問題も引き起こしている。海底パイプラインは、クジラの餌場への影響を緩和するためのルート変更を余儀なくされた。

シェルの広報は、サハリンII第2フェーズの融資の付与に関して、サハリン・エナジーとEBRDは「着実に話を進めてきた」と述べる。さらに「予定通り今年中に融資契約をまとめられるよう、EBRDと共にこれらの問題解決に取り組んでいく」と述べた。

EBRDは、国際協力銀行、米国輸出入銀行、英国輸出信用機関である英国輸出信用保証局からなる国際公的融資団の一画を担っており、融資団はサハリン・エナジーに対して総額50億ドルの融資を検討している。EBRDが融資を拒否すれば、一連の融資の実行が危ぶまれるが、同事業はロシアや他国政府、特に急成長のさなかにあり多くのエネルギー需要を見込んでいるアジア諸国の政府に強力に支持されており、今後も進展していくだろうと、専門家はみている。

シェルの広報は、EBRDが融資をしなかった場合の対応については何も想定していないと述べている。

【翻訳:FoE Japan】

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