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IUCN決議 「絶滅危惧種ニシコククジラ生存確保のための緊急措置を」 |
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国際自然保護連合(IUCN)は、2004年11月17〜25日に開催された世界自然保護
会議でサハリン開発の脅威にさらされているコククジラに関する決議を採択しました。
絶滅危惧種ニシコククジラ生存確保のための緊急措置を (IUCN決議/CGR3. RES076-REV1)
ニシコククジラは、世界で最も希少な大型クジラ類の一種で、23頭の出産可能な雌くじらを含む約100頭しか生存していない。それゆえ、この種はIUCNにおいて絶滅危惧種に指定されている、ということを認識し、
この種は、20世紀初頭の乱獲によりこのような低いレベルにまで個体数を減少させられ、今日では、唯一知られている採餌場所において石油とガス開発という新たな脅威に直面していることを懸念し、
さらに、海岸付近の餌場は長さ70km以下、幅10km以上であること、及びこの生息地は雌くじらが子育てをし、親離れをさせる場所として唯一知られている場所であり、種の生き残りにとって非常に重要な場所であることを懸念し、
巨大石油会社であるサハリンエナジー(シェル、三菱、三井)、エクソンそしてBPとロシアのパートナーは、サハリンの北東沖で大規模な石油開発プロジェクトを始めており、それが、ニシコククジラの採餌場所を直接包囲し侵食していること、また、石油会社やその国際的な融資機関がこれらのプロジェクトの累積的影響を、個別的にも、集合的にも、連続的にも考慮していないことを非常に心配し、
ニシコククジラは主として底生生物を食べていること、彼らの採餌場所(ピルトゥン地域)は非常に限られていること、そして大規模な石油流出が起きた場合、石油の封じ込めが極度に困難であり、この地域の卓越流により流出した石油がクジラの採餌場所へ広がってしまう可能性があるために、沿岸の生態系や海底コミュニティーに与えるリスクが非常に高いことに配慮し、
2001年に国際捕鯨委員会(IWC)において表明されたこの種についての懸念、「人為的な死亡率をゼロにし、様々な人為的な妨害を可能な限り最小限にするためにあらゆる努力がなされなければならない(決議2001-3)」という主張を特筆し、また歓迎し、
IWCにおいてその後毎年引き続いて同様の懸念が表明されていることに留意し、
IUCNの種の保存委員会の鯨類専門家グループが、その最新の保護行動計画「イルカ・クジラ・ネズミイルカ類:2002-2010 世界のクジラ類のための保護行動計画(2003)」において、ニシコククジラを極度に減少した大型クジラ類の一種であると確認したことを想起し、
さらに、種の保存委員会の鯨類専門家グループが、サハリン石油開発事業推進者に対してリスク評価と影響の緩和に関して科学的技術的なアドバイスを与えていることを想起し、
サハリン島付近の石油ガス開発計画がニシコククジラに与える影響に関する独立の科学調査を行っていることに言及し、
世界自然保護会議第3回タイ・バンコク大会(2004年11月17-25日)において、以下のことを決議する。
1 事務局長に対し、IUCNメンバー、委員会、会議とともに、ニシコククジラの全ての生息域、特にサハリン島の採餌海域を通じた保護を促進することを要請する。
2 ニシコククジラに対するこれ以上のいかなる悪影響も、彼らを絶滅に導く可能性があることを警告する。
3 全ての周辺国政府(ロシア連邦、韓国、中国、日本を含む)に対し、ニシコククジラとその生息域の保護のための国内的な行動計画を早急に策定し、実施することを強く要請する。
4 全ての関連石油会社に対し、種の保存委員会の鯨類専門家グループが合意したような国際的なベストプラクティスに見合い、利権をもたない集団による独立の審査に服するような、独立のモニタリング計画を導入するよう働きかける。
5 国際捕鯨委員会(IWC)の決議2001-3に従い、2005年のサハリン大陸棚における大規模な建設工事への着手の前に、潜在的な人為的影響を可能な限り最小限に抑えるような効果的な影響緩和措置を策定し、実施することの重要性を強調する。
6 ロシア当局に対し、ニシコククジラ(母親と子ども)が毎年出現する時期の間、彼らへ悪影響を及ぼしうる活動を停止するような地域を設定することを要請する。
(翻訳:FoE Japan) |
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