更にFoE Japanの松本が、サハリンIおよびU石油・天然ガス開発に日本の特殊法人である国際協力銀行(JBIC)を通して公的資金が融資されていることについて報告しました。
国際協力銀行は、サハリンUに対して1997年に1億1600万ドル(約140億円)、サハリンTに対して2002年に1,100億円の融資を行っています。
更に日本が第二の出資国である多国間金融機関である欧州復興開発銀行(EBRD)からも1億1600万ドル(約140億円)の融資が行われています。
JBICもEBRDも第2期工事について更に融資する可能性が高いと思われます。
国際協力銀行は「国際金融等業務」で、日本企業が海外で行う事業のリスクを軽減する業務の部分からサハリンに融資を行っています。
その原資の中には、財政投融資という年金や郵便貯金を運用しているものがあり、要するに日本の市民のお金が出ていることになります。
JBICが融資してきた事業の中には、地元住民やNGOから強い反対の声が挙げられてきたものもあります。
融資を行う日本政府の責任として、事業を決定する前に経済的な利益だけではなく環境などマイナスの影響を十分に検討し、適切な環境影響調査が行われることが求められています。
しかし現実には、環境影響調査がどれほど十分かには疑問をもたざるを得ません。
環境影響調査の中には、関係者、関心のある市民や研究者にこれを公開し協議をすることが含まれています。
そして出された意見が取り入れられ、調査されなければいけません。
これは日本政府が融資をする際の条件です。
しかしサハリンでは、油流出時の影響、オオワシの影響、森林破壊の影響、パイプラインによる河川への影響が十分調査されているかといえば、そうではありません。
取り返しのつかない環境への影響は経済評価と同等に取り入れられなければなりません。
これだけ大きな事業で、しかも日本にも影響がある事業で、これまでどれほど事業者から日本の市民、NGO、研究者に情報公開や説明が行われてきたか、大変疑問です。
油流出の対応についても、事業者がもっと責任を持つ必要があります。
計画変更や中止も視野に入れてプロセスを進めるべきでしょう。