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JBICガイドライン
JBIC環境ガイドラインの策定プロセス
NGO・市民連絡会の活動と提言
「国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会」と提言活動
https://www.sg-egl-jbic.org/
JBIC異議申立制度の設置に向けて
JBIC環境社会配慮ガイドライン遵守機能としての異議申し立て制度に対するNGO提言-手続き要項

国際協力銀行(JBIC)環境社会配慮ガイドライン遵守機能としての

異議申立制度に対するNGO提言―手続き要項



【制度について】

1 遵守についての考え方
 
JBIC環境社会配慮ガイドラインに定められているJBICの環境社会配慮確認の基本方針では、「融資等を行なうプロジェクトが環境や地域社会に与える影響を回避または最小化し、受け入れることのできないような影響をもたらすことがないよう・・・プロジェクト実施主体者により適切な環境社会配慮がなされていることを確認」することとなっている。したがって、ガイドラインの遵守と言った場合、狭い意味での遵守=すなわちガイドラインが定めた手続き的な要件などを守ることだけではなく、広い意味での遵守=すなわち融資プロジェクトが環境や地域社会に与える影響を回避・最小化しているかどうかを対象とするべきである。このペーパーでは前者を狭義の遵守機能、後者を問題解決機能と呼び、両方を合わせた広義の遵守機能について提言する。また、遵守を確実にする方法としては、被影響者からの異議申立を採る。したがって、JBICが融資した、もしくは融資を検討しているプロジェクトによって影響を受ける人たちの立場を最大限尊重した制度とするべきである。

2 基本原則
  すでに国際機関や国内の環境紛争解決における合意形成の中で確認されているように、政策遵守機能の原則は公平性、合理性、効率性、及びそれらを確保するための独立性、透明性、応答性にまとめられる。こうした原則は、多国間と二国間の間に差異を認められるべきものではない。

3 目的
@ JBICが融資等を行なったプロジェクトによって生じた、もしくは生じる恐れがある環境社会影響が環境社会配慮ガイドラインの不遵守によるものかどうかを調査すること
A 環境社会影響がガイドラインの不遵守によるものかどうかに関わらず、環境社会影響に関わる問題の解決に資すること
B 不遵守の調査と問題解決への働きかけを通じて、JBICの政策の改善に資すること
C JBICの公的機関としてのアカウンタビリティを向上させること。

4 組織
2つの組織:狭義の遵守機能を担うインスペクションパネル(パネル)と問題解決機能を担当するオンブズパーソンの2つの組織を、総裁直属機関として設置し、それぞれが常設事務局を持つ。
インスペクションパネル:委員は3人で任期は3年間。1度だけ再任できる。ただし最初の3人は、それぞれ2年、3年、4年の任期を持つ。委員長を互選で選出する。委員長はパネルを代表する。メンバーの兼職は妨げないが、1人は常勤ベースで、他の委員もパネル職務を優先しなければならない。
オンブズパーソン:兼務は妨げないが常勤で1人。任期3年。1度だけ再任できる。業務の量によって、若干名の非常勤者を雇用できる。
パネル委員とオンブズパーソンの要件:公正さ、調査能力、異なる立場の人とのコミュニケーション能力を備える。JBIC職員の場合は、退職後2年間はパネル委員やオンブズパーソンに応募できない。またパネル委員やオンブズパーソン退任後5年間はJBICに直接関わる業務(契約職員やコンサルタント業務を含む)に就けない。
選任方法:パネル委員とオンブズパーソンは公募とする。JBICの人事担当部門が、JBIC、産業界、学識者、NGOからなる選考委員会を設置し、そこが審査・推薦し、総裁が任命する。最終選考は公開とする。
解任の要件:健康上の理由から職務の遂行が困難であったり、職務上不適当な行動をとったりするなど、相当の理由がある場合、総裁が解任できる。ただし、インスペクションパネルの場合は他の委員の同意を得なければならない。また解任理由を公開しなければならない。解任される人が希望すれば、弁明書も同時に公開される。
事務局:それぞれの組織の事務局には、JBICの業務に明るい職員を1名配し、情報収集やJBIC職員とのコミュニケーションなどの点で、パネル委員とオンブズパーソンの業務を補佐する。この職員は総裁が任命する。それ以外の若干名の事務局職員は、JBIC職員かどうかは問わず、環境社会配慮や問題解決機能に関する知識や経験を持った人材を、それぞれ公募に基づいてパネル委員とオンブズパーソンが審査・推薦し、総裁が任命する。事務局は、物理的に外部からのアクセスが必要以上に困難でない一方、JBICからの頻繁なアクセスを回避する。事務局職員は、パネルやオンブズパーソンの意思決定に関与してはならない。また独自のホームページの運営など広報活動を担う。
調査員:パネル委員及びオンブズパーソンは必要に応じて調査員を若干名雇用することができる。選考は委員及びオンブズパーソンが行なう。ただし、異議申立を受けている案件の利害関係者は調査員にはなれない。

5 インスペクションパネルの機能
・ 異議申立に基づく環境社会影響と環境社会配慮ガイドラインの不遵守の関係についての独立公正な調査
・ 独立公正な調査の実施のためJBICの投融資部門から独立した連絡調整機能
・ 総裁に対して不遵守の場合の対応策を含む調査報告の提出。
・ パネル調査報告を受けたJBICの対応等のモニタリングとフォローアップ
・ パネル調査に関する情報公開

6 オンブズパーソンの機能
・ 異議申立に基づく環境社会影響の確認及び独立公正な調査
・ JBICによる問題解決の促進
・ 事業実施主体を含めた問題解決に向けた調停
・ 定期的な総裁への報告
・ 独立公正な調査の実施のためJBICの投融資部門から独立した連絡調整機能
・ モニタリングとフォローアップ
・ オンブズパーソンの関与に関する情報公開

7 権限 ・ 職務に関連したJBIC所有文書へのアクセスが保証される。
・ 関係する企業から必要な文書等の提出を求めることができる。
・ 相手国政府(機関)が所有する関連文書の提出や調査のための現地訪問については、必要があれば日本政府の協力を要請する。
・ 相手国政府(機関)や企業が所有する情報へのアクセスや現地調査は、相手方の合意を必要とする。したがって、JBICはL/Aなどを通じて、パネル委員やオンブズパーソンが調査に必要な情報へのアクセスや現地訪問等を可能にできるような合意を借入人等と取りつける。
・ 審査期間中に事業が進むことで、申し立てられている被害が悪化することが予想される場合は、融資の停止や中止を総裁に意見し、それを公開することができる。この権限を融資契約上確保する。

8 申立の範囲
・ JBICの環境社会配慮確認が始まってから融資返済終了までを対象とする。
・ 環境社会影響とする。

9 再申立
・ 過去にインスペクションパネルやオンブズパーソンに申立をしている場合、新しい情報や事実を提出することで再申立ができる。

10 助言
・ インスペクションパネルのメンバーとオンブズパーソンは、申立を検討している人にアドバイスを与える。助言は申立の前か後かを問わない。
・ アドバイスの内容は、2つの機能の違い、申立者の適格要件、申立内容、申立方法など双方の制度に関する全ての点について行なう。

11 守秘義務
・ パネル委員、オンブズパーソン、事務局職員、及び調査員は、JBIC職員と同様の守秘義務を課される。それには、業務を通じて知り得た商業上の秘密も含まれる。

12 情報公開
・ 情報公開はJBICのホームページに設けられたそれぞれのページを通じて各組織が担う。その際、商業上の秘密や匿名希望者に関する情報などの不開示情報については十分配慮する。またホームページにアクセスできない人のため、JBICの本店・支店・在外事務所等を通じて情報提供する。

13 広報
・ インスペクションパネルとオンブズパーソンへの申立手続きを定め、JBICは在外事務所等を通じて制度や手続きに関する積極的な広報を行なう。
・ 手続きについては、まず英語と日本語で作成し、申立の状況を見ながら、必要に応じて他の言語への翻訳を進める。

14 両機能への申立
・ 同じ申立人が、同時期にインスペクションパネルとオンブズパーソンの両者に申立をすることはできない。
・ インスペクションパネルで本調査が行なわれた申立は、オンブズパーソンに申立をすることができない。ただし、インスペクションパネルに申し立てたものの、事前審査でJBIC環境社会配慮ガイドラインの不遵守との関係が不明確だとされたものについては、オンブズパーソンに申立をすることができる。
・ オンブズパーソンに申し立てた人がインスペクションパネルに申し立てる場合、オンブズパーソンの調停機能を使って入手した守秘義務のある情報を利用してはいけない。

15 申立対象のガイドライン
・ 申立対象となったプロジェクトの融資契約日によって、遵守の対象となるガイドラインは異なる。新しい環境社会配慮ガイドラインだけでなく、旧日本輸出入銀行の環境配慮ガイドラインや、旧海外経済協力基金の環境配慮ガイドライン(初版及び第2版を含む)、及びガイドライン制定前に同様の役割を果たしていたチェックリストも異議申立の対象とする。

16 申立者への嫌がらせの防止
・ JBICは、異議申立者が当該国政府や対象事業の借入人から、申立を理由にした脅迫や嫌がらせが起きないようにしなければならない。

17 意見受付
・ インスペクションパネルやオンブズパーソンに一般の市民が情報提供をしたり、意見を述べたりすることができるよう、JBICは専用のメールアドレスなどを設置し、広く周知しなければならない。


【インスペクションパネルの手続き】

1 受付
・ 申立をできる人:JBICのプロジェクトによって環境社会影響を受けている(受ける可能性がある)人、もしくはその代理人
・ 申立に含まれる内容:@申立者に関する情報(代理の場合は被影響者の情報及び代理を立てる正当性を含む)、A匿名を希望するかどうか、Bプロジェクト名と事業主体者名、C環境社会影響に関する具体的な既述や根拠、Dこの問題へのこれまでの対応やJBICとの連絡状況、E指摘した環境社会影響とJBIC環境社会配慮ガイドライン不遵守との関係、Fその根拠となる文書などの資料(もしあれば)
・ 言語:あらゆる言語。ただし日本語・英語以外の場合は、翻訳に必要な時間が余分にかかる。
・ 申立方法:文書で提出。郵便、ファックス、電子メール、手渡しなどの様式で受付可能。JBICの在外事務所でも受け付ける。在外事務所は受け取りを申立人に交付し、申立書を速やかにパネルに送付する。
・ 受付確認:パネルの委員長は、受付後、速やかに申立者にその旨を通知する。なお、申立書は必ず委員が開封する。
・ 再申立:再申立の場合は、新たな追加情報を必要とする。
・ 情報公開:受付通知と同時に、受け付けた異議申立を公開する。

2 受理
・ 審査:申立者の適格要件、申立の内容が、形式的に満たされているかどうかを審査する。
・ 審査日数:受理に関する審査日数は5業務日とする。
・ 追加情報の請求:提出された情報が不充分の場合は、申立者に追加情報を請求する。その場合、受理の審査期限を最大15業務日延期できる。
・ 受理の決定と通知:受理・不受理の決定は審査後速やかに行ない、申立者と総裁に通知する。
・ 不受理:形式要件を満たしておらず、請求した追加情報を一定期間内に提出しなかった場合等、不受理とすることができる。その場合、不受理の理由を申立者に文書で伝え、反論がある場合、文書で提出してもらう。
・ 情報公開:受理・不受理について、その決定後速やかに情報公開する。不受理の場合はその理由及び申立者からの意見を合わせて公開する。

3 初期審査
・ 審査事項:申立人の適格要件や申立内容の真偽を現地調査等によって審査する。主な審査事項は、@環境社会影響を受けている、もしくは受ける可能性があるかどうか、A環境社会影響がJBICのプロジェクトに関係したものか、B悪意があったり、些細な問題であったり、あるいは競争上の利害があったりしないか。
・ 審査の方法と期限:現地訪問、JBIC職員からの聞き取り、関係書類の審査などによる。審査期間は20業務日とする。
・ 適格の決定と通知:審査終了後速やかに本調査に入るかどうかを決定し、申立者と総裁に通知する。申立者の適格要件を満たし、申立内容の妥当性を確認できた場合、パネルはJBICのガイドライン不遵守との関連を調べる本調査に入る。
・ 不適格:適格要件や申立内容が妥当でないと判断された場合、その理由を申立者に文書で伝え、反論がある場合、文書で提出してもらう。
・ 情報公開:審査結果を速やかに公開する。不適格とした場合はその理由及び申立者からの意見を合わせて公開する。
・ 融資契約の凍結:融資契約締結前のプロジェクトに異議申立が出され、初期審査で適格性に問題がなく、不遵守に関わる審査が決定された場合、審査が終了して結論が出るまで融資契約の調印は凍結する。

4 本調査
・ 調査内容:本調査では、申立者が訴えている環境社会影響とJBICの環境社会配慮ガイドラインの不遵守との関係を主な目的とする。その他、初期審査で不明確だった点などについても調査を行なう。
・ 調査の方法:現地調査、JBIC職員・関係企業・相手国政府(機関)・被影響住民・関係するNGOなどからの聞き取り、関係書類の審査などによる。
・ 調査の期間:本調査を決定してから75営業日以内に調査報告書案をまとめる。ただし、パネルが必要と判断すれば調査期間を延期できる。その場合、本調査を決定してから75営業日以内に中間報告書を作成し、調査期間延期の理由と新しい期限を付して総裁に提出する。
・ 融資契約の凍結:融資契約が結ばれていない案件については、パネルが本調査を決定してから最終報告書が総裁に提出されるまでの期間、融資契約締結を凍結する。
・ 情報公開:中間報告書及び調査期間延期の理由は、総裁への提出と同時に速やかに公開される。

5 調査報告
・ 調査報告書案及び最終調査報告書の内容:@現地で生じている(起こりうる)環境社会影響が、JBICの環境社会配慮不遵守によるものかどうかの判断、Aその根拠の説明、B不遵守に関わる対応策への意見(環境社会配慮ガイドラインに基づく融資の一時停止・中止、環境影響評価のやり直し、住民との協議のやり直しなどを含む)、Cインタビューした人に関する情報、D参照した文書や文献などのリスト
・ 提出書類:調査を通じて参照した資料の一覧、聞き取り調査を行なった人の一覧(匿名希望者は立場などに留める)
・ 意見聴取:パネルは調査報告書案に対するJBIC投融資部門と申立者の意見を15業務日以内に聴取する。両者の意見を受理後10業務日以内に、両者の見解を加味した最終調査報告書を総裁に提出する。
・ 情報公開:最終調査報告書は、総裁提出後、速やかに公開される。同時に申立者やJBIC投融資部門の意見も公開される。また、最終報告書に書かれた参照した文書や文献は、希望があれば申立者にコピーを提供する。もし提供できない文書や文献がある場合、その理由を明示し公表する。

6 不遵守への対応
・ 不遵守への対応:最終調査報告書で不遵守が指摘された場合、受理後15業務日以内にJBIC総裁はJBICとしての具体的な対応をまとめる。その際、パネルの最終調査報告書は最大限尊重されるものとし、最終調査報告書の主旨と反する対応を取る場合は、十分な理由説明を必要とする。
・ 情報公開:不遵守への具体的な対応、及び最終調査報告書の主旨に反した対応を取る場合の理由説明は、速やかに申立者に通知され公開される。

7 モニタリング
・ パネルは対応策の履行状況をモニタリングする。その際、申立者からの情報提供や意見を歓迎し、必要に応じて関係者に報告を求めたり、独自に調査を行なったりできる。
・ モニタリング状況は年次報告書などを通じて定期的に総裁に報告し公開する。モニタリング調査報告についてはその都度総裁に提出し公開する。
・ モニタリング状況と調査報告は申立者に送付する。

8 関与の終了
・ パネルは不遵守に伴う問題に十分な対応がとられたと判断した場合、それを総裁に報告し、その件に対する関与を終了する。
・ パネルの関与が終了したことを申立者に通知し、意見を求める。
・ 申立者からの意見があれば、それを付して、関与が終了したことを公開する。


【オンブズパーソンへの申立手続き】

1 受付
・ 申立をできる人:JBICのプロジェクトによって環境社会影響を受けている(受ける可能性がある)人、もしくはその代理人
・ 申立に含まれる内容:@申立者に関する情報(代理の場合は被影響者の情報及び代理を立てる正当性を含む)、A匿名を希望するかどうか、Bプロジェクト名と事業主体者名、C環境社会影響に関する具体的な既述や根拠、Dこの問題へのこれまでの対応やJBICとの連絡状況、E期待する解決策、F指摘した環境社会影響とJBIC環境社会配慮ガイドライン不遵守との関係(任意)、Gその根拠となる文書などの資料(もしあれば任意で)
・ 言語:あらゆる言語。ただし日本語・英語以外の場合は、翻訳に必要な時間が余分にかかる。
・ 申立方法:文書で提出。郵便、ファックス、電子メール、手渡しなどの様式で受付可能。JBICの在外事務所でも受け付ける。在外事務所は受け取りを申立人に交付し、申立書を速やかにオンブズパーソンに送付する。
・ 受付確認:オンブズパーソンは、受付後、速やかに申立者にその旨を通知する。なお、申立書は必ずオンブズパーソンが開封する。
・ 再申立:再申立の場合は、新たな追加情報を必要とする。
・ 情報公開:受付通知と同時に、受け付けた異議申立を公開する。

2 受理
・ 審査:申立者の適格要件、申立の内容が、形式的に満たされているかどうかを審査する。
・ 審査日数:受理に関する審査日数は5業務日とする。
・ 追加情報の請求:提出された情報が不充分の場合は、申立者に追加情報を請求する。その場合、受理の審査期限を最大15業務日延期できる。
・ 受理の決定と通知:受理・不受理の決定は審査後速やかに行ない、申立者と総裁に通知する。
・ 不受理:形式要件を満たしておらず、請求した追加情報を一定期間内に提出しなかった場合等、不受理とすることができる。その場合、不受理の理由を申立者に文書で伝え、反論がある場合、文書で提出してもらう。
・ 情報公開:受理・不受理について、その決定後速やかに情報公開する。不受理の場合はその理由及び申立者からの意見を合わせて公開する。

3 初期審査
・ 審査:申立者の適格要件や申立内容の真偽を現地調査等によって審査する。主な審査事項は、@環境社会影響を受けている、もしくは受ける可能性があるかどうか、A環境社会影響がJBICのプロジェクトに関係したものか、B悪意があったり、些細な問題であったり、あるいは競争上の利害があったりしないか。
・ 問題解決プロセスの準備:問題解決プロセスを進めるための情報を収集する。具体的には@申立者が望む問題解決策、Aこれまでの申立者とJBICや事業主体者とのやり取り内容、などに関して情報を収集する。
・ 審査の方法と期限:現地訪問、JBIC職員からの聞き取り、関係書類の審査などによる。審査期間は20業務日とする。
・ 適格の決定と通知:申立者が適格要件を満たし、申立内容の妥当性を確認できた場合、その旨を総裁及び申立者に報告し問題解決のプロセスに入る。
・ 不適格:適格要件や申立内容が妥当でないと判断された場合、その理由を申立者に文書で伝え、反論がある場合、文書で提出してもらう。
・ 情報公開:審査結果を速やかに公開する。不適格とした場合はその理由及び申立者からの意見を合わせて公開する。

4 JBICによる問題解決の促進
・ オンブズパーソンの役割:懸念される環境社会影響と期待される解決策を受けて、申立者とJBICとの間の対話を進めたり、追加の環境影響調査をJBICに求めたりするなど、柔軟で多様な働きかけを通じ、JBICによる問題解決を促進する。この場合、事業主体への働きかけはJBICが行なう。
・ JBICの役割:JBICのプロジェクトによる環境社会影響が認められたという事実を重くみて、JBICはオンブズパーソンの問題解決促進に向けた働きかけを最大限尊重する。
・ 調査:JBICと申立者の合意に基づき、オンブズパーソンは必要な調査を実施することができる。
・ 期間:期限は定めない。
・ 報告と公開:最低2か月に1度、オンブズパーソンは自らの働きかけに関わる種々の調査報告書や協議の議事録、働きかけの具体的な内容や進捗状況を総裁に報告し公開する。

5 調停
・ 調停:JBICと申立者の間での問題解決が進まない場合、オンブズパーソンは事業主体を含めた全ての関係者による調停を勧めることができる。調停を始めるかどうかは、関係者の合意による。
・ 調査:関係者の合意に基づき、オンブズパーソンは必要な調査を実施することができる。 ・ 期間:期限は定めない。
・ 情報の取り扱い:調停交渉に出された情報や交渉の進行に関する情報については、関係者の合意に基づいて公開される。
・ 報告と公開:最低2か月に1度、オンブズパーソンは調停の進捗状況を総裁に報告する。進捗状況の公開内容については、非開示情報や調停当事者間の合意を尊重する。

6 モニタリング
・ オンブズパーソンは、関係者間で合意された内容の履行状況をモニタリングする。その際、申立者からの情報提供や意見を歓迎し、必要に応じて関係者に報告を求めたり、独自に調査を行なったりできる。
・ モニタリング状況は年次報告書などを通じて定期的に総裁に報告し公開する。モニタリング調査報告書についてはその都度総裁と関係者に提出し公開する。なお、モニタリング調査報告書の公開においては、非開示情報や調停当事者間の合意を尊重する。

7 関与の終了
・ 関与を終える場合:オンブズパーソンは、問題解決に向けたこれ以上の働きかけが効果的でないと判断した場合や当事者間で合意された内容のモニタリングの必要性がなくなった場合、関与を終了させることができる。
・ 通知:オンブズパーソンが関与の終了を決めた場合、JBIC、申立者、事業主体などの関係者にその旨を通知する。
・ 報告と公開:関与の終了にあたって、オンブズパーソンは、それまでの問題解決のプロセスと結果、関与を終了する理由等について、総裁に報告する。報告書は、非開示情報や調停当事者間の合意を尊重した上で公開する

【環境社会配慮ガイドライン遵守機能の見直し】

・ インスペクションパネル及びオンブズパーソンは、業務の見直しを目的に、年に最低1度は、関係者とのコンサルテーションを開催する。
・ インスペクションパネルとオンブズパーソンは、環境社会配慮ガイドラインの改訂時期に合わせて制度や手続き等を見直し、必要があれば改訂を総裁に提案する。
・ 見直しに際し各組織は、JBICの投融資部門や審査部門、それに過去の申立者や関係したNGOなどの意見を聴取する。

【政策への反映】

・ インスペクションパネルとオンブズパーソンが合同で「環境社会配慮ガイドライン遵守合同会議」を設置する。
・ 遵守合同会議は、インスペクションパネルとオンブズパーソンへの異議申立を通じて明らかになったJBICの政策上の課題について議論し、JBICの政策改善に意見を述べるものである。
・ 遵守合同会議は、両組織の全委員の参加を得て、年に1度開催する。
・ 遵守合同会議は、異議申立を通じて明らかになったJBICの政策上の課題と、JBICの政策改善への意見を報告書にまとめて総裁に提出し公開する。
・ JBIC総裁は、遵守合同会議の報告書を尊重して、政策への反映を行なう。

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