タイガは、木材の供給源としての一面も持っています。極東ロシアの場合、数十%のタイガは人間の手の届かない場所にありますが(道路や鉄道などのインフラが達していないため)、街や道路、鉄道に近い場所では、木材を調達するためのタイガの伐採が盛んに行なわれてきました。タイガで伐り出された木材はソ連時代から重要な輸出商品として位置づけられ、東シベリアや極東ロシアのタイガで伐り出された木材が日本などに輸出されてきました。
さて、世界中で森林破壊や森林資源の破壊が問題となっている今日、北方林、とくにタイガの木々を二十一世紀の木材資源と見なして注目している人々がいます。
一口に木材といっても、種類によってそれぞれ用途が異なります。熱帯産の木は合板の材料となり、温帯産の広葉樹は紙やパルプの材料となっていますが、太くて真っ直ぐな寒帯産の針葉樹には、住宅建築の材料などとして圧倒的に大きな需要があります。そのため、真っ直ぐなマツの木の仲間が広い面積に渡って立ち並ぶタイガを、二十一世紀の森林資源と呼んで期待をかける人々がいるわけです。そしてそれらの人々の中には、「熱帯雨林から木材を伐り出すと環境破壊が起こるが、ロシアの森林では伐採を行っても環境破壊は起こらない。ロシア産の木材は"地球に優しい"エコロジカルな商品だ」と言っている人々もいます。
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