10月20日、サハリン環境ウォッチがプレスリリースを配信しました。
以下は、FoE Japanのボランティアによる翻訳です。
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サハリン環境ウォッチ
プレスリリース
サハリン2、パイプラインの許可なしに既に1年間石油・ガスを採掘
2009年10月20日
サハリン環境ウォッチは、ロシア技術監督局及びロシア自然利用監督局サハリン
支部に対して、サハリン2のパイプラインを使用しないよう要求した。これは、石油流出リスクにつながるようなパイプラインでの違反を明らかにした共同調査の結果による。
今年5月から9月までに、サハリン環境ウォッチのメンバー及びロシア科学アカデミー極東支部の極東地質学研究所の専門家は再三サハリンエナジー社のパイプラインを調査し、地質学的に危険なプロセスを明らかにした。この原因となったのは、マカロフ及びポロナイ地域の一連の河川の谷間にあるパイプライン回廊への地滑りと土石流を引き起こした多量の雨である。ゴールナヤ川では洪水と土壌浸食の結果、地下の石油パイプが長さ10mに亘り露出された。トラヴャナヤ河川流域―重要なサケの産卵地域―にあるジュダンコ連峰の斜面における土石流の結果、パイプライン回廊には深さ1.5mの大きな窪地ができた。
2009年9月27〜28日、マカロフ地域で当組織の代表者たちが、サハリン2のパイプラインの地滑り及び侵食対策につき最近の半年間で4回目の調査を実施し、トラヴャナヤ川支流で侵食プロセスが続いており、この地域のさらなる侵食防止策が講じられていないことから、ガス・石油パイプ上の窪地の深さは3.2mまで増大した。ソリャンカ川では増水でえぐられた護岸施設は川床へ倒れている。護岸が施された区域の長さは約30mである。
我々が5月に初めてこの区域を訪れた時からここでは何も変わっておらず、護岸復旧のための何らの作業も行われていない。ガーリ川では侵食の結果深さ1.2〜1.5mの窪地ができ、護岸施設がここでは洗い流され、変形している。パイプライン回廊地帯では、川床に光ファイバーケーブル―石油・ガスパイプラインコントロールシステムの一部―が垂れ下がっている。
ロシア自然監督局サハリン支局は8月初めにサハリン2のパイプラインを点検し、一連の違反を明らかにした。サハリンエナジー社が行うべき違反除去命令書が発行された。しかしながら、民間環境調査で明らかになったように、2ヶ月経っても違反の大部分は除去されていない。9月28日時点で、サハリン環境ウォッチのメンバーにより地質学的に危険なプロセスが指摘されたすべての河川のうち、わずかゴールナヤ川で復旧作業が行われたのみである。
何百という産卵川を横切るサハリン2のパイプラインは、何百万トンの石油と何十億立方メートルの天然ガスを高圧で輸送する。進展する地質学的に危険なプロセスに対する十分な予防策が施されないため、パイプラインの損傷、そしてその結果として石油流出あるいはガス漏れのリスクを孕む。
このような状況において、1年間の実質的なパイプラインの稼動及びLNGの出荷にもかかわらず、建設された施設が技術規定の条件を満たしているという承認書をロシア技術監督局は未だに出していない―つまり、稼動することができないということを意味する。
ロシア技術監督局は、稼動に必要な技術的承認書がないまま21年間操業したサヤノ・シューシェンスク水力発電所での事故原因調査の結果を数日前に発表した。この承認書は2000年に署名されたばかりであり、そこには除去を要求する多数のコメントが含まれていた。
2009年8月、タービンホールの洪水で、75人が死亡した。この実例が、同様に安全に関する承認がないまま、既に1年間操業しているサハリン2プロジェクトの産業施設の安全性に対し大きな懸念を投げかけている。この産業施設でも技術性の事故の危険性は高まっているにもかかわらず、事業者はとるべき対策を講じていない。
我々は、サハリン2のパイプラインが要求規準を満たしたものになるために可能な限りのことを国家機関が行うことを期待している。サハリン環境ウォッチはパイプラインの状況を今後もモニタリングしていく。
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