2005年4月8日付けでグリーンピースロシアが伝えたところによると、ビキン川
上流域の鳥獣保護区「ヴェルフネビキンスキー」の重要性を明記し、当地 では伐採を行うべきではないと訴えたグリーンピースロシアの書簡に対し、
ロシア連邦営林局は、木材調達を目的とした森林フォンドの賃貸譲渡は 計画にない旨を公表しました。
この度のビキン川上流域の伐採騒ぎの発端は今年の1月、モスクワにある 公共機関「少数民族・エスニックグループ連盟」から沿海地方知事のセルゲイ・ダルキン氏に送られた書簡に端を発しています。この書簡では、ビキン川上流域の鳥獣保護区「ヴェルフネビキンスキー」の森林資源の利用を推奨し、委託すべき具体的な伐採業者さえ指示される内容でした。
この書簡を目にしたクラスヌィ・ヤール村の住民たちは集会を行い、地方知事であるダルキン氏宛ての書簡を作成しウラジオストク市へ赴きました。
また、先住民族組織である沿海地方先住少数民族協会は、FoE Japan と共催した円卓会議においてこの問題に言及し、対策を検討し、これを打
開するために各方面との協力の強化に務めました。
現在のところ、4月8日付けの報道を最後にビキン川上流域伐採に関する 情報は途絶えています。ロシア連邦営林局による公表から得られる情報にのみ立脚し、伐採の危機は免れたと考えるのは楽観的すぎますが、以下の意味において流れは伐採を退ける側に向っているとも考えられます。
・ビキン伐採の決定はロシアのみならず国際的な批判を呼ぶものであり、伐採から得られる利益以上の損益を沿海地方へともたらす。
・2005年にロシアで開催されるFLEGの国際会議を考慮した場合、伐採はネガティヴなイメージで捉えられる。
・地方において伐採に関わる主体が、今まで行って来たように、中央であるモスクワを引き合いに出して伐採を推進することができなくなった。
ロシアタイガプログラム 佐々木勝教
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