(2002年9月30日、ホニアラ、ソロモン諸島)
ソロモン諸島は現在、隣国のパプアニューギニアのようにエルニーニョによる旱魃が発生する可能性が高く、今年の降水量は平年を下回りこの傾向は来年まで続くだろうと気象局代理局長のイロイ氏は警告を鳴らしている。
エルニーニョは、世界的な旱魃や洪水の原因になっているとされる異常気象である。東太平洋で海水温が上昇する現象で4年から5年の周期で発生し、風や雨のパターンに変化を及ぼす。
イロイ氏は、予想される降雨量の減少による農業や水資源への影響による被害について警告し、以下のセクターも影響を受けるとしている。
・マグロや他の海洋生物がより温かい海域へと移動することによって発生する漁業への影響
・旱魃による健康への被害の増加
経済危機に直面しているソロモン諸島にとって旱魃が発生することは、2年間以上続く民族紛争などがあるため大きな痛手である。
イロイ氏は同国政府や国民に対し、予想されるエルニーニョの影響への適切な対策をとることを助言している。
現在サイクロンの季節が近づいているが、熱帯性サイクロンが発生すれば十分な降雨があるであろうと同氏は述べている一方で、エルニーニョの発生中にはソロモン諸島を含む西太平洋諸国でサイクロンの発生数は減るだろうと指摘している。
パプアニューギニアではすでに、以下のことが発生している。
・首都のポートモレスビーでは水の配給で水力発電がおこなえず停電が発生している。
・高地にある町では水の配給が始まっている。
・中には地元の供給が尽きたために遠くまで水の調達に行かなければならない村もある。
・農業専門家は、旱魃に強い作物の種子を用意するなど、村人やその他地方の人々が旱魃を乗り越えられるよう
に対策を強化している。
(Pacific Islands News Association (PINA))