By Kalinga Seneviratne
(9月8日、シドニー、PINA Nius Online)
ツバルが気候変動問題に関してオーストラリアと米国を提訴する姿勢を強めており、温室効果ガス排出量の増加による気温上昇や海面上昇によって島が沈むと主張している。
先週終了したヨハネスブルグサミット中、ツバルは他の島嶼国代表へのロビー活動を精力的に行った。同国は、この2つの先進国を相手取り、世界的な法廷において訴訟を起こしたい考えだ。オーストラリアは、国民一人当たりの温室効果ガス排出量が最も多い国であり、アメリカは総排出量で世界最大となる。両国はヨハネスブルグサミットでは、京都議定書の批准を拒否し続けるなど、孤立した態度をとった。中国とロシアが同議定書批准を表明したことで、その孤立姿勢がより鮮明になった形だ。
科学者の多くは、気温の上昇による氷河の融解が海面上昇を引き起こし、太平洋の島嶼国を危険に陥れると主張する。最大海抜が4メートルで、9つの環礁島からなるツバルは、50年以内に海面上昇により沈むということが科学者の試算で言われており、こうしたことが人口12000人のツバルがオーストラリアとニュージーランドに対して、危険回避のために移住先となるよう申し出たことにつながったといえる。
ニュージーランドは30年の期間を持って移民制度を作ることに合意をしたが、オーストラリアの移民大臣であるフィリップ・ルドック氏は、こうした行動は憶測に基づくものに過ぎないとしている。
「なぜこのようなものに同意できるのか?こうしたことが起こるのは、起こったとしても30年から50年後のことではないのか?」と同氏は述べる。
オーストラリアと米国の環境に対する取り組みの不十分さを非難し、ツバルはハーグにある国際司法裁判所で両国を訴えたい考えだ。
ヨハネスブルグサミットに出席していたツバル財務大臣のビケニベウ・パエニウ氏は、ラジオ・オーストラリアのインタビューに答え、ツバル国民はすでに海面上昇に恐怖感を抱いており、オーストラリアの出してきたデータは実際に現地で起こっていることと一致しないと主張した。
「私の人生で初めて、私は怖くなった。なぜなら、ツバルで起こっていることと、オーストラリアにある科学的データや情報は、矛盾しているからだ。」と同氏は述べている。
専門家はこれを科学的データの操作としているが、ツバルはこれに対して対抗する能力がないため影響を受けやすい。その一方で、オーストラリアはこれを否定している。
先月フィジーで開催された太平洋島嶼フォーラム中に、オーストラリアは、海面上昇に関して最近起こっていることに対して何の科学的根拠も存在しないという研究結果を提出した。
その代わりに、その現象の原因は土壌の浸食であると主張した。オーストラリアの環境大臣であるデビッド・ケンプは、ツバルの訴訟を起こすという態度を退け、オーストラリアは世界の温室効果ガスの1%しか排出していないと主張した。
同氏は、「これは世界的な問題だ。太平洋地域でオーストラリアほど、適応策やリスク評価などにおいて諸国を支援している国はないのだ。」と述べた。
ヨハネスブルグサミット中に、オーストラリアは、US$390万の「太平洋諸国とのパートナーシップイニシアティブ」を発表した。これには、US$217万の太平洋適応策脆弱性イニシアティブも含まれており、これによって太平洋島嶼国は異常気象などの将来の変化に対して適応することがよういになるとしており、その他にも天気予報体制の改善なども行われる。
フィジーのカラセ首相は、サミットの結果を実際のプロジェクトにするスタートとして、このパートナーシップイニシアティブを歓迎するとしている。
同首相は、次のように述べている。「太平洋のパートナー達にとってこれは最初の機会であり、これによって太平洋諸国の政府や団体やステークホルダーなどとの実質的なパートナーシップを模索したいとする国々などが状況を見つめることができる。」
京都議定書に強く反対するオーストラリアの立場は、化石燃料産業の強力なロビー活動にあるとオーストラリアのアナリストは述べている。ちなみに、オーストラリアは石炭の輸出大国である。
6月に、ハワード首相は議会に対して次のように述べた。「我々にとって、京都議定書を批准するということは、雇用を失い、産業への損失を招くということを意味する。このため、政府は批准に反対し続けているのだ。」
また、同首相は同国は京都議定書のターゲットを独自の対策を行うとも付け加えた。国連環境計画によると、オーストラリアの毎年の一人当たり温室効果ガス排出量は27トンであり、米国は毎年6700万トンであるということである。
京都議定書のターゲットを達成するためには、2010年までにオーストラリアは現行から16.1%、米国は24.3%削減する必要がある。
しかし、オーストラリア政府は「目標達成間近である」としている。オーストラリアのアナリストは、オーストラリアへの訴訟は、すこし現実離れをしていると述べている。しかし、ヨハネスブルグサミットでおこなったツバルのようなキャンペーンは、気候変動問題への法的な行動に関する意識の向上になっている。
Pacific Islands News Association (PINA)
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