(ローマ6月11日−PINA Niusオンライン)
ローマの国連食糧農業機関(FAO)本部で開かれている第2回世界食料サミットで11日、太平洋島嶼国の食料確保に関する取り組みがいかに気候変動とそれに伴う海面上昇の影響によって損なわれているかという意見が聞かれた。
ケサイ・ノテ マーシャル諸島大統領はサミットの演壇に立ち、「われわれの島の海抜は約2mである。気候変動対策を今講じなければ、マーシャル諸島国民が最初の環境難民になることを憂慮している。貧困軽減と食料安全保障に関してわれわれがこうして行う取り組みすべてが、近い将来に無駄になってしまう。少なくともわが国民やわが国にとってはそうだ。」と述べた。
同サミットでは、ノテ大統領をはじめ南太平洋諸国からは5人の首脳や閣僚が発言をした。その他の南太平洋代表者は、ロバート・ウーントン首相(クック諸島)、テブロロ・ティト大統領(キリバス共和国)、トゥイラエパ・サイレレ・マリエレガオイ首相(サモア独立国)、ウルカララ・ラヴァカ・アタ王子・首相(トンガ王国)、そしてジョネタニ・ガルイナディ農務・土地相(フィジー共和国)である。
この世界食料サミットは、1996年の第一回同サミットに引き続き開かれた。この第一回世界食料サミットでは、世界の首脳が飢餓や栄養不良を削減するというコミットメントを行った。
国連食糧農業機関は、農業発展、改善された栄養状態、そして食糧安全保障の追求によって、貧困や飢餓を軽減するための国連機関である。食糧安全保障は、すべての人類が何時も活動的で健康的な生活を送るために食料を入手することができることと定義されている。
ノテ大統領はまた、「この現状はわが国の多くの島において、急激な人口増加や伝統的な自給の習慣が廃れてきていることによって発生している。今やマーシャル諸島の食料安全保障事情はひどく脆弱な状態にある」と語り、マーシャル諸島が輸入品に以前にも増して依存している現実を伝えた。
同大統領は事態解決のためにマーシャル諸島政府が導入した計画を紹介した。その計画には、@小島嶼や海抜の低い島において収入源を得るプロジェクト、Aプログラム進行の流れを保つための農業者や小口会社への資金循環を確立する制度の一本化、B地元の食糧生産に関して補充、そして栄養バランスを整えるための固有種やその他の果実や植物栽培を含む農業や家庭菜園の基礎を教授するための高等学校生への教育プログラム、などがある。
同大統領は、「未発展地域に住むより多くの女性や若者が、FAOの遠隔食料プログラムなどこうした小規模の農業プロジェクトに参画していることは好ましいことである」と述べ、また、「缶詰産業、リーフやラグーンでの漁業は国内食糧安全保障の基礎を成すものである」と付け加え、「収入源としてのリーフやラグーンの商業的漁業の可能性探求を推進する一方、わが政府は生態系保護の必要性も十分認識している」と語った。
また、大統領は各政府機関に対して数多くの離島にあるサンゴ礁の健康状態を調査するために協力することを指示しており、「2種類のサンゴ礁ともっとも人口密度の高い岬に生息する魚類の生息数調査を始めた。改めて、われわれは適切な資金を伴ったこうしたプロジェクトがわが国のすべての島で再現されることを願っている」と述べている。ノテ大統領は、食料が手に入り飢餓の無い生活を送る権利を、息をできる権利と同じくらい基本的なものだと強調し、「政策決定者として、こうした権利が語られるだけでなく、我が国政府によって最大の注目事項になることを確保する義務がある」と述べた。
マーシャル諸島は世界食糧安全保障に関するローマ宣言と貧困撲滅のための世界食料サミット行動計画へのコミットメントを再確認し、ノテ大統領は「我が国政府が飢餓と戦うための世界的同盟構想を支持することをとても誇りに思う。そして、できる限り支援を行っていく」と語った。
太平洋島嶼ニュース協会(PINA)
ウェブサイト: https://www.pinanius.org
SOURCE: Pacific Islands Report