FoE インターナショナル プレスリリース
5th April 2002 ニューヨーク
FoEインターナショナルはニューヨークの国連本部に集まった各国政府が、グローバル化に関する懸念が広く浸透していることへの対応をなしえなかったことを大変残念に思います。そして米国、カナダ、オーストラリア、OPEC諸国が今年の8月に開催される歴史的なヨハネスブルグサミットを失敗させようとしていることを非難します。(1)
米国とその支持国は、サミットの交渉文書の中に、グローバル化に対して社会的そして環境的な面から制限するため、意義ある目標や実施計画案を盛り込もうとする動きを阻止しました。米国、カナダ、オーストラリア、そしてOPEC諸国は最も非難されるべきです。めまぐるしい2週間の交渉の中で、中身のあるというより、陳腐な表現に終始した文書が出来上がってしまいました。一方、EUやG77開発途上国の多数は、米国の強行的姿勢を前にしてリーダーシップを充分に示すことができず、具体的な行動案を出すことができませんでした。EUは、モンテレイやドーハでの交渉を受け、金融と貿易に関してG77諸国が抱いている懸念に対処することに消極的でした(2)。FoEインターナショナルは、EUに対して、気候変動枠組み条約の交気渉の中で行っていたのと同様に、ヨハネスブルグサミットにむけての交渉過程の中でもリーダーシップを取るよう要求します。
FoEインターナショナルは、建設的な提案をヨハネスブルグサミットの準備会合において行ってきました。1992年に開催されたリオサミットの大きな功績のうちの一つは、市民社会からの意見に対して国連が開かれたものとなったことである。しかし、各国政府は市民社会の懸念、特にグローバル化の重要な問題に対して背を向けてきました。各国政府はエンロン疑惑事件があったにもかかわらず、企業の不正行為に対する市民の大規模な抗議を無視してきました。企業のアカウンタビリティーに関して彼らが出してきたものは、自主的なイニシアティブのみであり、これでは企業活動によって被害を受けているコミュニティーの権利を保証するのは不可能です(3)。各国政府はまた、持続可能な発展よりもWTOで決定した貿易に関する事項の方が重要との認識に終始してしまっています。FoEインターナショナルやその他の主要なNGOによる、「国際環境協定(MEA)はWTOの貿易ルールに従属的なものではないことを明確にすべき」という呼びかけは、スイスの賛同を得られたのみです(4)。
FoEインターナショナルのWSSD担当であるダニエル・ミッテラーは次のように述べています。
「各国政府は今意義のある行動に取り組むべきです。資金に関する事項を伴う目標や実施計画はヨハネスブルグサミットの成功のために不可欠です。各国政府は、企業に先導された自由貿易を持続可能な発展と名打って声高らかに促進するのではなく、市民社会の声を深刻に受け止めることをはじめなければなりません。ヨハネスブルグでは、各国政府は世界に向けて、地球を救うことに関して私達に賛同するのか、反対する立場をとるのかをはっきりさせなければなりません。」
政府は特に企業との"パートナーシップによる取り組み"を追求しようとしているために、交渉の結果をうやむやにしていると考えられます。FoEインターナショナルは、こうした形で国際的な取り組みを私物化することに反対し、そして国連のプロセスは、政府が世界的な責任を果たすためにあると主張します(5)。国連は多国籍企業などが個々の利益を求める市場になってはなりません。
ダニエル・ミッテラーは以下のようにも述べています。
「パートナーシップが提案されましたが、必要な取り組みを促進するというより、意義のある国際協定の交渉に対する後ろ向きな力となっています。サミットまでのわずかな時間のなかで、成功を収めるためには、各国政府は思い切って計画を実施することが必要です。」
〈注釈〉
1. ニューヨークで3月25日から4月5日まで開催された会議はヨハネスブルグサミットに向けて行われた準備委員会の第3回会合です。サミットは8月26日から9月4日まで開催され、10年前のリオサミットからの進捗状況を見なおすことになっています。www.johannesburgsummit.org
2. 開発資金国際会議は2002年3月にメキシコのモンテレイで開催されたが、市民団体の多くは失敗だったとしています。ドーハで開催されたWTO閣僚会議は2001年11月に開催され、更なる貿易自由化のためのアジェンダに関して合意がなされました。FoEインターナショナルはドーハでの決定は人々や自然環境に対する危険を露呈するものであったと考えています。そして、貿易自由化イによる社会的、環境的な悪影響の調査が早急になされるよう呼びかけています。
www.foei.org
3. FoEインターナショナルは、企業アカウンタビリティーに関する国際キャンペーンを立ち上げました。これはニューヨークでの会議で市民社会の賛同を幅広く得ることができました。拘束力のある企業アカウンタビリティーを規定する詳細な文書や提案している条約の主要事項はこちらのサイトを参照ください。(英文)
www.rio-plus-10.org
4. 国際環境協定(MEA)の権限と独立性をヨハネスブルグにおいて確立することを要求する共同声明がFoEインターナショナル、グリーンピースインターナショナル、第三世界ネットワーク、ANPED、シエラクラブによって出されました。
www.foei.org
www.foejapan.org/news/statement_on_wto.html(日本語)
5. FoEインターナショナルは、全てのパートナーシップ合意に関して反対の立場をとっているわけではありません。明確なガイドラインと透明性の保持をもって行われるべきだと要求しており、持続不可能な発展の根本的原因に対処し、現在合意されている目標より前向きなものを達成しようとする多国間の取り組みは特に支持しています。
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