NGOが国際取引の汚職防止に向けた 取り組み強化を求め共同提案
2000年11月13日 16日からパリで行なわれるOECD(経済協力開発機構)の輸出信用グループ会合に向 け、世界33カ国78団体は、10日、途上国向けの投資等に伴う汚職を防止するため の国際的取り組みを強化するよう、共同提案を行なった。 先進国からの援助や対途上国投資に伴う汚職の深刻さは、最近ようやく明らかに なってきた。インドネシアでは開発資金の20-30%が賄賂に消えていると言われて おり、こうした大規模の汚職が開発効果や民主化を妨げ、債務を増大させて貧困 層に大きな負担を及ぼすことから、貸し手側の責任も問われている。 世界銀行やアジア開発銀行などの国際機関は独自の調査や対策を発表するなどの 対策を強めているが、途上国への大規模インフラ投資の主な資金源となっている 先進各国側の対策が遅れていることから、OECDでの取り組みが求められている。 先進国企業が対途上国投資を行う上では、自国の輸出信用機関(ECA)から融資・ 保証・保険等の支援を受けることが多い(日本では国際協力銀行(旧日本輸出入 銀行)がこれにあたる)。OECDでは1999年2月に「外国公務員贈賄防止条約」が発 効したが、ECAの多くは自国企業による外国公務員の贈賄を防止するための十分な 対策をとっていないため、条約の効果が疑問視されていた。 NGOはOECDの事務局長ドナルド・ジョンソン氏に宛てた書簡で、次のような提案を 行った。 (1) 公的輸出信用や貿易保険を申請しようとする業者に対し、違法な支出がない
旨の宣誓書を要求すること。
ECAの支援を受けたプロジェクトに関して汚職が指摘された最近の例としては、イ ンドネシアの電力開発に絡む大規模な汚職事件がある。日本、アメリカ、ドイツ などの多国籍企業が投資したほぼ全ての発電プロジェクトで、スハルト一族に多 額の賄賂が渡っていたことを政府高官や国家監査委員会が告発した。その結果、 開発コストは巨額に膨れ上がり、多額の債務は貧しい人々の暮らしを圧迫してい る。しかし、これらの事実が明らかになった後も、プロジェクトに資金や保証を 提供していた先進各国の輸出信用機関は真相解明のために協力せず、むしろ自国 企業を保護するためにインドネシア政府に政治圧力をかけたと伝えられている。 (このケースの詳細については こちらをご覧ください。) *日本ではコミッションは契約の一部に認められていない。
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