OECDで輸出信用機関の環境基準、協議本格化


プレスリリース
1999年10月26日
各位

 10月26日からパリで開かれるOECDの輸出信用・保証機関会合 で、各国機関の環境基準策定に向けて本格的な協議が始まる。

 この輸出信用・保証機関の環境基準策定に向けては、今年6月のG8ケルンサミットの8カ国首脳共同宣言の32項において「我々はOECDの枠組みの中で、輸出金融機関のための共通の環境上の指針の作成に向けて作業を行う。我々は、この作業を2001年のG8サミットまでに完了することを目指す。」との文言が盛り込まれ、これをうけてOECDでの作業が本格化したものである。

 このOECDでの輸出信用・保証機関の会合は、毎年4月と10月にパリで行われているもので、これまでも97年のG8デンバーサミット、98年のG8バーミンガムサミットの8カ国首脳共同宣言、外相総括を受けて環境基準策定に向けての動きはあったが、OECD内での作業は具体化していなかったのが現状だ。今後ここでの作業状況を見ながら、来年のG8沖縄サミットでも輸出信用・保証機関の環境基準についてフォローアップを行う必要がある。輸出信用機関の出融資・保証における環境基準については、一国だけが高い環境基準を持つと国際入札で不利になるため、各国共通の基準作りが求められている。これまで、米国だけがNGOの働きかけによって世界銀行レベルの高い基準を持ちあわせているが、今年のG8ケルンサミットの共同宣言で「共通の」基準を「2001年のG8サミットまでに」という文言が盛り込まれために、各国とも本格的に共通の環境基準策定に向けて動き出した。

 輸出信用機関に最低限のOECD各国共通の環境基準の策定を求めてきた世界各国の環境NGO(非政府組織)も、10月26日の午前中にOECD輸出信用・保証ワーキングパーティの非公式会合の中で、共通の環境基準についてニグレン議長から意見を求められている。これにあわせて23カ国63団体のNGOが輸出信用機関の環境基準への提案をまとめている。この中でNGOは、輸出信用機関の環境基準について1)国際的に模範的とされている環境アセスメントの実施要領 をベースラインとすること、2)環境アセスメントに関しては十分な情報公開と住民参加の手続きを確保すること、3)環境基準の策定過程においても透明性を持って情報公開を行い市民参加の手続きを確保すること、などを求めている。

 また、10月27日午後4時からはフランスの国会議員とNGOの共催で、「輸出信用機関と持続可能な開発について」のセミナーの開催も予定されており、米国輸出入銀行やカナダの輸出開発公社、日本からも国際協力銀行の代表が各国での環境基準策定の動きについて紹介し、各国の国会議員やNGOと公開で議論を行う。

 日本では、国際協力銀行が日本輸出入銀行と海外経済協力基金のガイドラインを統合する過程で、新しいガイドラインの策定に取り組む予定で、通産省貿易保険も2001年までに環境基準策定に向けて動き出すことになる。今後、国際的に模範的とされている環境アセスメントの実施要領などを参考にどこまで、情報公開や住民参加が確保されることになるのか注目される。

添付資料:

1)輸出信用機関の環境政策改革に向けて世界の動き、3頁
2)セミナー「輸出信用機関と持続可能な開発」プログラム(10月27日)、3頁

○さらに詳しい情報をご希望の方は下記までご連絡ください。

地球の友ジャパン
〒171-0031東京都豊島区目白3−17−24−2F
Tel:03-3951-1081, Fax:03-3951-1084
E-mail: finance@foejapan.org