ケニア円借款案件(ソンドゥ・ミリウ水力発電事業)
現地NGO連合の日本政府に対する要望書(2001.9.24.)

NGO COALITION ON SMHPP

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2001924

 

田中 真紀子 外務大臣

塩川 正十郎 財務大臣

平沼 赳夫 経済産業大臣

 

ソンドゥ・ミリウ水力発電事業の技術委員会について


  私たち「ソンドゥ・ミリウ水力発電事業を考えるNGO連合」では、技術委員会に対する不満を、再度申し述べたいと思います。またさらに、事業による地域へのマイナス面の影響についても私たちは依然として注目しています。こうした地域への影響を認めたケニア電力公社は、NGO連合からの要求に沿って2001年1月26日、技術委員会の設置に合意しました。これは事業全体を見直し、地域からの苦情に応えることを目的としたものでした。

 第1回目の技術委員会の場で、「土地の補償と移住」「雇用と収入機会」「環境」「保健と安全」の4つのテーマに関する小委員会を設置することが決められました。それぞれの小委員会では、テーマに沿って住民が指摘する問題について調査し、その解決に向けた提言をまとめることが求められてきました。

 その結成から9ヵ月経った現在、技術委員会は正常に機能しているとは言い難く、またケニア電力公社を初めとする事業推進者側の「操作」により小委員会の提言内容は常に無視されてきました。そこでNGO連合は、委員会の本来の目的を取り戻し、失われた住民・関係者からの信頼を回復させるために技術委員会を早急に建て直し、より効果的で意味のあるものに変える必要があると考えています。そのため、私たちは以下の内容を提言したいと思います。

 

1)技術委員会の構成

 現在の技術委員会の構成は、全ての利害関係者の意向を代表するようにはできていません。委員の多くは、ケニア電力公社側により任命されたメンバーばかりです。事業が引き起こしている複雑な諸問題に対し、科学的な解決策を編み出しうる能力や知識・技能を持った専門家も見当たりません。

 そこで私たちは、技術委員会の中に地理学・水理学・大気また水質汚染・法律・社会学・経済学などの分野における専門家を新たに委員として加え、複雑な課題に科学的に対処する態勢を整えることを提言したいと思います。また事業書類も世界銀行のものを参考に作られていることから、こうした専門家の派遣を世界銀行から受け、短期・長期両面での事業の監視と評価を行うことを提案します。

 さらに地域の青年グループや女性団体、また勤労者団体の代表も委員として加わるべきだと考えます。

 

2)同意書

 私たちは技術委員会が、住民と電力公社の間に法的拘束力を持った同意書を発効することを強く提案します。

3)委員長について

 技術委員会の委員長は、事業者である電力公社側が務めています。このことは即ち各小委員会の決定事項を尊重しその結論を実行することよりも、電力公社自身の利益を守ることが重要視されがちであることを示していると言えます。

 私たちは、電力公社と関係のない清廉潔白な人物を、他の委員の承認のもと新たな委員長として早急に選任することを強く要望します。

 

4)オブザーバーについて

 委員会の議事の傍聴は、報道関係者および電力公社から認められたごく一部の傍聴者にしか認められていません。しかしソンドゥ事業は「公共」事業であることから、議事の傍聴は関心のある者すべてに許可されるべきだと考えます。

 

5)技術委員会でのNGO連合に対する嫌がらせ行為について

 私たちは、委員会の場においてNGO連合の代表者が、電力公社側の委員から執拗な嫌がらせを受けていることに深い悲しみを覚えています。これが互いの善意や信頼構築、また事業を成功させるために不可欠な協力関係をすべて踏みにじってしまう行為です。今年9月21日に持たれた最近の技術委員会の会合においても、NGO連合のメンバーが会議への参加を拒否されるという事態が起きました。これは非常に屈辱的であると同時に腹立ただしい行為です。

 また私たちは、NGO連合のアーウィング・オデラ氏に対し電力公社側が起こした訴訟についても、内容が捏造されたものであるとしてこれを取り下げるよう求めてきました。しかし彼らはそれを拒否しています。これは即ち、信頼の構築や互いの善意の醸成に逆作用する行為であり、事業の人権記録にとってもマイナスだと考えます。

 

6)事業への監査について

 汚職防止活動を行う国際的なNGO、トランスパレンシー・インターナショナルによれば、ケニアは世界で最も汚職が頻繁に行われている国のひとつに数えられています。私たちはこうした背景から、事業に対する適切な会計監査を行い、日本政府からの融資が正しく使われているかどうかをチェックするよう求めています。

 つい最近発覚したケニア電力公社のスキャンダルでは、1億5千7百万シリング(約200万ドル)もの巨額なお金が不正に使われていました。これに関わった電力公社の職員は、現在裁判にかけられています。

 

 以上に挙げた内容について、日本政府が適切な支援をしてくれれば、それは必ず技術委員会の機能を強め、その目標を効果的にかつ迅速に達成することにつながると、私たちは信じています。そしてまずはケニア電力公社自身の手によって、こうした問題が解決されることを、私たちは強く望んでいるのです。

 

グレース・アクム ソンドゥ・ミリウ水力発電事業を考えるNGO連合

(アフリカ気候ネットワーク 事務局長)

 

【同時送信先】 ケニア電力公社 マネージング・ディレクター 駐ケニア日本大使館 大使

国際協力銀行 ケニア駐在員事務所 チーフ ソンドゥ・ミリウ水力発電事業 技術委員会 幹事

   
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