ダルピリップ住民より輸銀への要望書(99.9.18)


シャルピリプ・サンタナイ先住民族運動
ベンゲット州イトゴン市ダルピリプ
1999年9月18日

日本輸出入銀行、大蔵省、国会関係者各位

フィリピンのサンロケ多目的ダム計画への融資を停止するよう再び緊急の嘆願を行います。我々の一番新しいこの嘆願の理由は以下の通りです。

1)アメリカの著名な専門家らによる最近の第三者技術再評価によると、サンロケ・ダムの環境影響評価には多くの抜け穴と弱点があることが明らかになっている。特に、ダム計画によってイトゴンのイバロイ民族の生活のみならず、パンガシナン州に住む人々へも大きな危険性があることが分かった。その危険性とは、たとえば、低地の洪水、ダムの決壊、地震によるダムへの被害、高い毒性のために水が灌漑用・家庭用として適さなくなること、アグノ川に予想を超える大規模な沈泥が起きる、といった可能性である。我々は、プロジェクトを継続させる前に、まずこのような問題に適切な配慮を払うべきだと考える。

2)我々が求めた条件、さらに日本輸出入銀行自らが融資再開の条件としたのは、影響を受ける人々と真の協議が行われる、ということであった。この条件はこれまで満たされておらず、フィリピン電力公社(NPC)は、我々にとっては受け入れがたい協議主体である。これまでの経験で、NPCによって行われた協議は、ダム計画に反対している我々の心情を正しく反映していないということが言える。したがって我々は、協議がNPCではなく、第三者機関によってなされ、日本の国会議員、日本大蔵省関係者、日本輸出入銀行関係者の立ち会いのもと行われることを要求する。この協議はまた、これまで影響を受けるとされているイトゴンの61世帯だけでなく、イトゴンの異なる地区の他の人々をも対象とするものとする。協議の情報は、関心のあるすべての人に十分公表し、透明性と民主的参加を徹底するものとする。

3)移住行動計画は、影響を受ける世帯の懸念に答えるべきものであるが、イトゴンのイバロイ民族が提起した問題点に適切に答えてはいない。イトゴンで影響を受けるとして認められているのはわずか61世帯にすぎず、ダムの貯水池、汚泥の堆積、集水域によって土地と生活に影響を受けるそのほかの2万人は無視されている。教会関係者、マスコミ関係者などによる調査団も、1999年8月2日にパンガシナン州の移住受け入れ地を訪れ、移住行動計画に含まれている約束がこれまでのところ果たされていないことを明らかにした。我々はまた、NPCの民営化がやがて進められたのちは誰が移住行動計画の実行を徹底させるのかという、極めて重要な問題も喚起するものである。

4)これまでのところ、プロジェクト支持のためにイトゴン市議会が定めた17箇条の条件は満たされていない。住民とはこの17箇条に関して十分な協議がなされていない。我々は、これらの条件は単にダム建設反対をなだめるために設けられたものと感じているし、サンロケ電力社がそれらの実行に関し誠実さに欠けるとも感じている。それでも、これらの条件の実施状況は、今、評価されるべきである。上に記したような懸念があるのだから、イトゴン市議は今、ダムの支持を見直すべきである。

我々はこれらの件に関し、各位が緊急に行動をとられることを求めます。
迅速な返答を心待ちにします。

代表パスクアル・パクディン
シャルピリプ・サンタナイ先住民族運動

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