地元住民組織(TIMMAWA)によるプレスリリース(2001.09.18)
アグノ川流域の砂金採取者 生計手段確保の権利を主張 2001年9月18日
サン・ニコラス町サン・フェリペ・イースト村の砂金採取者1,000名以上が、フィリピン電力公社(NPC)とサンロケパワー社(SRPC)に対し、アグノ川流域の砂金採取活動の継続を許可するよう要請した。
2001年7月18日、NPCおよびSRPCは、砂金採取者がダム建設に関連した事故で亡くなる恐れがあるとして、アグノ川下流沿いでの砂金採取活動を禁止した。サン・フェリペ・イースト村の住民らによれば、SRPCは、「アグノ川は私達がすでに獲得したものなので、砂金採取者が活動を続けるようなら、彼らの砂金採取の道具を私達は没収する」と警告しているようだ。
砂金採取者は要望書のなかで、「NPCおよびSRPCはアグノ川流域での砂金採取を妨害する根拠も権利も持っていない。」と述べている。そして、「川はフィリピンの人々の所有物であり、特にその流域に住み、生命を育んできた人々のものである。」と主張した。
砂金採取者はさらに、「サンロケダムの建設による生計手段の喪失は、サン・マニュエル町やサン・ニコラス町に暮らす住民の間に、大きな波紋を呼んだ。」と主張した。その2つの町の約3,000世帯の人々は、雨季の砂金採取が主な現金収入源であったため、生計手段が奪われた状態にあるのだ。
1日に採れる砂金の量は6gで、これをお金に換算すると1,740ペソもの金額になる。砂金採りのシーズン期には、1世帯当たり10日間で17,000ペソもの現金収入を得ることができる。「砂金採取は、私達の現金収入アップに重要な役割を果たしている。ダムの建設によって、私たちの従来の生計手段が崩壊した後も、NPCとSRPCはこの(砂金採取に対する)金額に相当する補償を私達に支払おうとはしていない。」と砂金採取者らは主張する。
ダム建設が始まる以前にサン・フェリペの住民が報告したところによれば、鉱山会社が操業を行っているイトゴン町の山々から水の流れに乗って運ばれてくる一山の砂金を採るために、時には約15,000世帯の人々が、パンガシナン州のさまざまな町からアグノ川に集まるということだ。
同事業の影響のため、サン・フェリペ・イースト村ブランギット集落の25世帯は、NPCとSRPCによりラグパン再定住地への移転命令を出されているが、彼らは依然として同集落にとどまっている。ブランギットに住んでいた81世帯のうち、20世帯については、自発的に移転することを選び、一方、39世帯についてはすでに同じ町に位置するラグパン再定住地に移転した。
再定住地に移転した人々は、時おりブランギットに引き帰し、彼らの従来の生計手段で生活を続けている。「私達は、月に140ペソの電気料金と40ペソの水料金を支払い、また、料理のためにガスタンクを一つ買わなければならない。これだけのお金を私達にどこで手に入れろというのか。ブランギットなら、私達は砂金採りや農業をして十分な生活資金を得ることができる。ここ再定住地では、私達は生計手段を何ら持っていないのに、毎月、(公共料金の)請求書に対して支払い義務がある。」と移転住民は不満を述べた。
NPCとSRPCは、再定住地への移転補助として、1世帯当たり5,000ペソの補償金を出している。彼らはまた、住民が前の土地に残してきた木々や、換金作物、構造物に対する補償も支払おうとしている。しかし、NPCは土地登記がなされている土地の換金作物以外に対しては補償金を支払わないだろう。
ブランギット集落は、今年、SRPCがダムの貯水を始めれば、一番初めに水没する集落となる。この集落の山腹では、すでに今年5月から伐採作業が始まっている。
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