サンロケ多目的ダムプロジェクト
最新情報(2001.08.06)

マニラ・ブリテン紙

NPC 補償支払いの遅れによるプロジェクトの遅れを懸念

2001年8月6日

 フィリピン国営のフィリピン電力公社(NPC)は、現在、総工費12億ドルをかけて行われているサンロケ多目的プロジェクトについて、同事業地内で影響を受ける人々への補償が依然として支払われていないため、サンロケ水力発電所の完成が遅れる可能性があることに懸念を示した。NPC総裁Jesus N.アルコルド氏は、現在、61世帯が補償の対象世帯となっており、そのほとんどは同電力事業を受け入れた地域社会の先住民族である、と語った。

 「我々は、彼らが確実に補償を受け取れるよう配慮したい。しかし、我々は(事業に)遅れが生じる可能性については重大な懸念を示してきた。」と、NPC総裁は強調した。

 アルコルド氏は、これまでのところプロジェクトは予定通りに進んでいるとしたが、「影響を受ける人々への補償の支払いが懸念材料になりうる。」と述べ、補償の問題が事業のスケジュールを横滑りさせる可能性があるとの考えを示した。

 サンロケプロジェクトの電力部門は、2004年に操業開始を予定しており、ルソン区域へ340MWの電力を供給することになっている。

 同事業のなかで結ばれた電力購買契約(PPA)は25年間にわたる契約で、NPCはサンロケ発電所の操業が始まってから初めの数年間、0.32ドル(13ペソ)/kWhから0.5121ペソ)ドル/kWhの価格で(サンロケパワー社から)電力を購入することになっている。これは、アジア地域の電力価格の平均が0.05ペソ/kWhという低コストであることと比較すれば、不当な高さのように思われる。

 実際、この発電所から供給される電力の価格は平均で2.98ペソ/kWhとなるため、高いと指摘されてきた。

 発電所が操業を開始してから12年間は、電気料金が最も高く設定され、それ以降は減額されることになっている。

 NPC総裁は、この電力事業に回されている補助金が原因となり、「正当な電力料金が末端消費者の支払い料金に反映されていない」ため、国の電力料金の不自然な高騰を招いている、と指摘した。

 NPCは毎月、最大電力を供給する際に得られる電気料金、また、運用費からなる「資本回収金」といったコストを支払うことになっている。

 同プロジェクトの事業者であるサンロケパワー社(SRPC)は、日本の総合商社である丸紅、ニューヨークに本社をもつアメリカのサイス・エナジー、また日本の関西電力(イタリアとタイの開発業者(イタルタイ)の株を買い上げた。)の合弁企業である。

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