サンロケ多目的ダムプロジェクト
最新情報(2001.07.09) パンガシナン・サンスター紙 ビンガダムの放水と洪水
2001年7月9日 フィリピン電力公社は認めないだろうが、ビンガダムからの放水は、台風時のパンガシナン州の洪水を悪化させている。この地方に十字をなして流れるアグノとブエッドの両河川には、数多くの支流から水が流れ込んでくるものの、それらの水が台風「フェリア」(国際名Utor)の絶頂期のような大災害を引き起こすわけではない。
もしビンガダムの管理をフィリピン電力公社の技術者が忘れているようなら、地方自治体と同社が結んだ協定について喚起する必要がある。その協定の内容は、貯水池の水量が危険な水位に達しなくても、台風がルソン島北部を襲う前にダムの水を少しずつ放水するというものだ。これは、水門を開く数時間前に知事に対して報告する義務とはまた別の問題である。
しかしながら、この協定は守られていないのが現状だ。台風「フェリア」がやって来たときも、ビンガダムの技術者はラジオのインタビューで、水位が危険水位よりおよそ7メートル下なので、水門はまだ開けられていないと語った。実際には、台風がすでに暴風とともに近づき、豪雨が家々の屋根を激しく叩いていたのにもかかわらずである。
アンブクラオダムから放水された水も加わり、ビンガダムへの水の流入速度が速くなると、フィリピン電力公社は6つ全ての水門を開け、計8メートルの放水口をつくる。1メートルの開口により毎秒1立方メートル以上の水が放水されるとすると、あふれ出て洪水となった水量は1時間で28,800立方メートルに達することになる。
仮に、この水量が一気に低地に流れ込んだ場合、とくに偶然にも満潮と重なった場合には、脅威的な大洪水を免れえないだろう。もう一つの問題点は、フィリピン電力公社が何時間水門を開放したのか、当人ら以外、だれもよく知らないということだ。
アグノ川上流に位置するアンブクラオとビンガの2つのダムは、すでにその寿命を終え、また、激しい土砂堆積が進んでいることから、永久に閉鎖されるべきだ。1200メガワットの発電容量をもつスアル石炭火力発電所だけで、ルソン島全域への電力供給は十分に賄える。サンロケ多目的水力発電ダムが操業を開始する日もそう遠くはないだろう。
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