FoE オーストラリアのメンバー団体であるCycle Against the Nuclear Cycle(CANC)によるCANC3というキャンペーンが11月11日、終了しました。
核産業をストップさせるためには何ができるでしょうか?この問いに対してCANCの勇敢なサイクリストが出した答えは、ロックハンプトンからアデ
レードまでの4,500km(東京〜バンコク間に相当)を走破するという壮大なデモンストレーションでした。彼らは行く先々で地域のコミュニティと対話
を重ねながら、4ヶ月以上かけて東海岸ぞいにペダルを踏み続けました。そしてついに11月11日、アデレード市街の通りを抜けて、その壮大な旅を終えたのです。
自転車ツーリングというクリーンな方法で、反核兵器・反原子力を訴えるキャンペーンは、1970〜80年代にかけてFoE オーストラリアによって
いくつも組織され、それによって政府にウラン鉱山の新規開発をやめさせたり、いくつかのウラン鉱山を閉山させたりと成功を収めてきました。
今回のCANC3もその系譜に名を連ねるものであったといえます。
ここ2,3年の間、オーストラリアでは原子力発電の導入をめぐって議論が高まっています。それを受けて、このキャンペーンでは東海岸で原子炉設置が
取りざたされている場所を縫うようにコースが設定されました。
実際のライディングは、誰でもついていけるようにゆっくりしたペースで行われます。各地で地元の自転車好きな人々の飛び入り参加を受けながら、
あくまで楽しくみんなで自転車に乗るというスタンスが貫かれるのです。
4ヶ月に及んだ行程の間にはCANC3の通過に合わせて、各都市で様々なイベントが開かれました。環境保護の映画を上映したり、地域の環境保護団体と
ディスカッションをしたり、住民と一緒に街を走り抜けたり、ゲームやピクニックをしたり、本当にいろいろな活動を繰り広げています。変わったものでは
メルボルンで開催された「仮装サイクリング」というものもありました。首都キャンベラでは国会議事堂前に80人のライダーが集結したりしています。
CANC3がどのように影響したかは定かでありませんが、アデレードでゴールした二週間後のオーストラリア総選挙で、京都議定書批准を掲げた野党が大勝し、
政権交代が起きました。「自転車」という楽しい遊びを媒介に、市民と政治的イシューを結びつけていくCANCのような手法は、私たちも見習うべきところ大だと思われます。