2007年2月26日
環境省、国土交通省、経済産業省
農林水産省、防衛省、厚生労働省
戦略的環境アセスメントの法制化に向けたNGO共同声明
世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会、FoE
Japan、
オーフス・ネット、里地ネットワーク、気候ネットワーク、日本生態系協会
現在、環境省に設置された 「戦略的環境アセスメント(SEA)総合研究会」における
「戦略的環境アセスメントガイドライン」の検討・策定に、大きな注目と期待を寄せている。
昨今、様々な環境条件を正しく認識し、人間活動を管理する考え方が時代の趨勢である。大規模な公共事業が
環境面や社会面に与える影響に回避・低減する手法として、個別事業の計画・実施段階よりも上位の政策段階、計画・プログラム段階の意思決定の際に、複数案の比較のもと環境影響評価が行なわれることが必要不可欠である。
既に環境先進諸国は、持続可能な発展のためにSEAを導入・実施している。欧州連合(EU)は2001年にSEA指令を定め、2004年7月に施行している。また、アメリカの国家環境政策法に基づくアセスメントは、1969年制定当初からこれを含んでいる。韓国では、既に運用していた事前環境評価システム(PERS)を
2005年5月に改正し、2006年から本格的なSEAを導入している。また、国内でも既に、複数の自治体が戦略的環境アセスメントの条例・要綱を制定している。
我が国では、環境影響評価法制定の際、附帯決議でSEAの法制度化の検討を求められており、第3次環境基本計画(2006年4月7日閣議決定)に戦略的環境アセスメントの法制化への取組みが盛り込まれたことを契機に、今年度から前述の研究会によって、具体的な検討がなされてきた。
2008年にはG8を開催し、2010年には生物多様性条約締約国会議の開催地の候補に名乗りをあげた我が国においては、世界に誇れる持続可能な社会の構築のためにも、法制度化にむけた
戦略的環境アセスメントの取組みを、各省庁連携のもと積極的に進めるべきであると考え、下記の事項を要請する。
- 環境省は、現行のアセス法の対象事業は元より、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなる恐れのある全ての事業の上位にある計画等を対象とし、国民の意見反映、国や地方自治体の環境部局の関与、第三者機関の審査等を明確に盛り込んだ「戦略的環境アセスメントガイドライン」をまとめ、法制度化を早急にすすめるべきである。
- 国土交通省、経済産業省、農林水産省、防衛省、厚生労働省は、第3次環境基本計画に基づき、自らの事業を特例として対象からはずすべきではない。既存のパブリックインボルブメントのガイドライン等の環境に関する事項は、「戦略的環境アセスメント」に統合すべきである。
以上
(本件に関する連絡先)
世界自然保護基金ジャパン(自然保護室、草刈秀紀 03-3769-1772)
日本自然保護協会(保護・研究部、大野正人 03-3553-4103)
日本野鳥の会(自然保護室、古南幸弘・高井健慈 042-593-6871)
FoE Japan(岡崎時春、03-6907-7217)
オーフス・ネット(事務局長 中下裕子、03-3432-1475)
里地ネットワーク(竹田純一 03-5404-4846)
気候ネットワーク(畑直之 03-3263-9210)
日本生態系協会(環境政策室 03-5951-0244)
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