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政治宣言
地球サミット:ヨハネスブルク
 私達は、世界中に70カ国に100万人以上の会員の支持を得る世界最大の草の根環境ネットワークである、FoEインターナショナルのメンバーである。
 私達は世界の市民である。私達は、人間活動が地球に及ぼす悪影響や、日々の生活で目の当たりにする貧困、そして不公平さに翻弄されている。私達は、政府、企業、富者、そして権力者は、自らの活動に対する責任を果たさなければならないと確信している。私達は、人類が持続可能な将来を実現するということであれば、世界が必要とする根本的な変化のために一緒になって尽力する。
 私達は、持続可能な開発に関する世界サミットに出席している世界の首脳に対し、政治宣言の中に以下の原則を盛り込むことを要求する。
1. 10年前に開催された地球サミット以降、多くの環境・社会問題は悪化している。世界で独占的な位置を占める新自由主義的な経済システムは持続可能ではない。
2. リオ原則を再確認し、各国政府はそれらを実行するために必要な計画に直ちに合意しなければならない。
3. すべての人々に対する公正さは持続可能な開発に必要不可欠な条件である。世界中の女性は物資や生命の恩恵に公平なアクセスを持たなければならない。すべての人々やコミュニティーの基本的な権利は尊重されなければならない。そうした権利には、安全で尊厳ある生活のために必要な措置を得る権利、クリーンで健康な環境で生活を送る権利、そして世界中の人々やコミュニティーの自分達の土地や資源に対する所有権などがある。私達は、何百万人もの人々が希望のない生活に瀕している状況をこれ以上許していてはいけない。そうした世界では平和の実現は無理である。
4. 将来の世代の権利は、現在の世代の権利と同じように大切である。私達は、現在より状況の改善した地球を、私達の子供達に残す絶対的な義務がある。
5. すべての国家は私達の共有する地球に対する責任を受け入れなければならない。しかし、今後の活動に対する責任は、それぞれの国家の政治・経済力、そしてそれぞれが地球に及ぼしている悪影響の度合いによって違ってくる。
6. 民主主義は、持続可能な将来にとって必要不可欠である。各国政府は力のある企業や国際機関が、自らの活動によって人々やコミュニティーに及ぼす影響に対して行動責任を持つことを担保しなければならない。国際的で法的拘束力をもった企業責任に関する枠組みが必要であり、これには、法的な補償責任や透明性の確保が含まれる。
7. 多様性は市民の重要な財産であり、将来の世代に残すために、現世代の人々はこれを預かっている。このためには、世界の動植物種や、私達が恩恵を受けている生態系の保全を行うことが必要である。これと同様に、世界の豊かで様々な文化への敬意を払うことも要求される。
8. 生物多様性は、数10億年の進化の賜物である。いかなる企業もこの自然の恵みに対する所有権を有していない。命に関する特許や知的所有権は許されない。
9. 私達は、お互いに助け合う世界の中で生きている。貧しく弱い立場にいる人々が苦しみ続けるのならば、世界の持続可能な将来はありえない。これまで横暴な活動を行ってきた先進国は、南の国々に対して環境債務を負っている。環境債務の認識と、その返済がおこなわれなければならない。
10. 途上国は、先進国の銀行や政府に対して負っている重い債務により大きな制約を受けている。これらの債務は、帳消しされなければならない。先進国の企業や政府に支配されている世界の金融機関は、野放しの自由貿易・自由市場という、破壊的で非人間的なイデオロギーの採用を、南の国に対して、強いることを止めなければならない。輸出を中心とした経済政策は、社会的・環境的な水準を保つことを犠牲にして導入されており、これは南の国の人々を失望させるものだ。世界銀行、国際通貨基金(IMF)、そしてその他の国際金融機関は、リオ原則と厳密に整合性の取れた投資基準と経済政策を採用しなければならない。
11. 世界の環境に対するニーズが貿易ルールに従属するものであってはならない。環境条約はWTOルールに対する優位性を持たなければならない。
12. 気候変動は、世界が直面する最も大きな脅威の一つである。再生可能エネルギーへのシフトを行うため、そして世界の破壊行為を止めるために行動を起こさなければならない。必要な最初のステップは、各国の政府が2010年までに、適切な再生可能な自然エネルギーの割合を、一次エネルギー供給の10%に引き上げることを約束することである。化石燃料プロジェクト、原子力発電、そしてその他の被害をもたらす補助金は廃止し、新規の石油、ガス、そして採掘は停止されなければならない。
13. 農業政策は、地域の消費のために健康な食品が十分に供給されることを保障し、地域農業の権利を尊重するものでなければならない。同時に、多様性や地域の資源は保護されなければならない。米国やEUの巨額で無駄な補助金は廃止されなければならない。遺伝子組み換え食品を人々やコミュニティーに押し付けたり、食料支援という名の下で南の国々へ流したりすることがあってはならないし、遺伝子組み換え物質を環境に放つこともやめなければならない。
14. 清潔な水へのアクセスは、適度な水準の生活に必要不可欠である。この権利は世界のすべての人々に保障されなければならない。水は公共財であり、淡水資源の民営化は許されてはならない。
 上記の原則は持続可能な将来のために必要な宣言である。これらはすべての人類が道徳的で充実した生活を送るための機会をもたらすものであり、地球サミットの結果を判断する材料となるものである。私達は、将来それらのために尽力することを誓約し、それらが達成されることを期待するものである。
連絡先:
中澤 健一 FoE Japanプレス担当
nakazawa@foejapan.org, +27 72 401 5401
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