LCA(ライフサイクル・アセスメント)から考えよう
使い捨ての紙コップ、使い捨てのプラスチックコップ、陶器のマグ、ガラスのコップなど、使用する容器によって、環境負荷はどのくらい変わるのでしょう?
各製品について、何が原料で、どこから来て、どのように製造され、輸送され、消費され、廃棄されるのか、その物質のライフサイクルのフロー解析をもとに、環境負荷を評価するのがライフサイクル・アセスメント(LCA)です。エネルギー消費、二酸化炭素排出量、水の消費量、固形廃棄物量などの項目について計算し、総合的な評価を行います。
現在、実際にファストフードやコーヒーショップで使用されている容器について調査したデータは出ていませんが、500ml飲料容器のLCAデータを参考にすることができます。
<500ml飲料容器1本あたりのLCA結果グラフ>
データ提供: 東京大学生産技術研究所 安井至教授 (現国連大学副学長)
最も環境負荷が少ないのはリユース容器
コーヒーショップチェーンの場合、上記の表をほぼ以下のように当てはめることができます。
紙容器 → 使い捨て紙コップ
ペットボトル → 使い捨てプラスチックカップ
リターナブルびん(20回)→ 陶器のマグ、ガラスのコップなどのリユース容器
実際に店内で使用されるマグなどのリユース容器は、割れるまで数百回使用されますので、500ml飲料容器の比較よりもさらに、使い捨て容器とリユース容器の環境負荷の差は大きいと考えられます。
最も正当性のない使い捨て容器
次に、上記の各種500ml飲料容器と、ファストフード、コーヒーショップチェーンの店内で使用される容器の、使用される時間と行方を比較してみましょう。
水やお茶、清涼飲料の入ったペットボトル、紙パック、缶などは、工場で飲料が充填されたときから、保管され、輸送され、店頭に並び、購入した人の家に運ばれ、飲まれるそのときまで、容器としての役割を果たします。そして、多くの家庭から出されたこれらの容器はリサイクルされます。
これに対し、ファストフードやコーヒーショップチェーンの店内で飲食する場合に使われる紙コップやプラスチックの使い捨て容器は、注文して初めて真新しい容器に飲み物がつがれ、席について飲み終わるまでその使用時間はわずか数分から長くても数十分。店内で回収された使い捨て容器はリサイクルされていません(「ごみ探偵団」調査報告参照。
FoE Japanの脱・使い捨て社会プロジェクトが、これらの使い捨て容器をターゲットにしているのは、これらが、最も正当性のない使い捨て容器だからです。
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