ミャンマー軍を利する日本の官民ファンドの事業を止めて!日本政府は責任ある撤退と説明をー官邸前アクション

開発と人権2025.5.27

#ミャンマー軍の資金源を断て
#JapanStopODAtoTheMyanmarJunta #NoMoreBusinessWithTheMyanmarJunta

 日時: 2025年6月2日(月)18:30~19:30 
官邸前(最寄駅:国会議事堂前駅)
※少雨決行(荒天の場合中止。最終的な実施判断は当日13時ごろまでに本サイトでお知らせ予定です) 
※感染症対策は各自にてお願いします 
※オンライン中継も予定しています

 ミャンマーでは、クーデターを起こしたミャンマー軍により、4年4ヶ月にもわたり混乱と殺戮が続いています。3月28日に中部で発生した大地震で甚大な被害が報告されている中、ミャンマー軍は停戦すると公言しながら、一方で被災地を含む各地で空爆を続けています。同軍が3月28日から4月24日の間に少なくとも140回の空爆を含む207回の攻撃を実施しており、停戦発表後に行われた攻撃は172回以上で、うち73回は地震で壊滅的な被害を受けた地域を標的とした、と報じられています[1]。日本でも複数の報道がありましたが、5月12日には地震の被害を受けたザガイン管区域の学校を軍が空爆し、7歳から16歳までの児童生徒と教師の合わせて24人を殺害した他、102人を負傷させたとも伝えられています。

 この間、確認されているだけでもミャンマー軍によって6,719人が殺害され(2025年5月22日時点 政治囚支援協会)、350万人を超える人びとが国内避難民となっています。軍の体制に不当に拘束されている人たちは、ここ数年、2万人以上で推移し減ることはありません。

 ミャンマー軍が地震被害に対する援助を恣意的に利用することも、懸念されています[2]。ミャンマー軍は被災地を空爆するのみならず、自分達の支配が及ばない地域に援助が届かないよう妨害もしています[3]。

 日本政府はミャンマー軍の体制の下で、政府開発援助(ODA)による約7,396億円の円借款事業を未だに続けています。また、ODAだけでなく、公的資金を主な原資に投資を行う官民ファンドも、ミャンマーでの問題事業に出資などを行なっています。

 軍の兵器などを調達する兵站局という部局と、現地企業を通して土地賃貸の契約を交わしているヤンゴンの軍事博物館跡地再開発事業(通称Yコンプレックス)には、国土交通省が所管する海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が出資と債務保証を行なっています[4]。2024年6月に、JOINが2023年度の決算で約799億円の損失を計上したことが明らかになりましたが[5]、これにはYコンプレックスの出資分約56億円と、民間銀行への債務保証約63億円が含まれています。JOINは未だに、ミャンマーの状況が改善されれば事業の実現に取り組むと主張していますが[6]、Yコンプレックスが軍を利する構造のままであることは変わりません。この事業には、財務省所管の国際協力銀行(JBIC)が日本の民間銀行と協調融資を行なっています[7]。

 JOINはまた、ティラワ多目的国際ターミナル事業にも出資しています。同ターミナルは、各国から制裁を科されているミャンマー軍所有企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(MEHL)との関係が証明されているエバー・フロー・リバー(EFR)グループというクローニー(政治的忠誠と引き換えに軍政から優遇されることで利益を得ている政商)企業と共同で運営されてきました[8]。私たちの問いかけに対し、事業に参画する各社は撤退の準備や人権配慮につき回答してきましたが[9]、JOINは私たちがプレスリリースを発行してから回答しています。加えて、この事業の資産がどのように処理されるかや、コンセッション契約解除に伴う違約金の支払いによりミャンマー軍政が利益を得るのか、また事業からの今後の収入がミャンマー軍と関係のある事業体に流れるのをどう防ぐのかについて、JOINや企業からの説明はありません。

また、官民ファンドの株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は同じく官民ファンドである株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構(JICT)と持ち株会社を設立し、その持ち株会社を通し、NHKのグループ企業である株式会社日本国際放送(JIB)と共に、ドリーム・ビジョン社に出資しています。

このドリーム・ビジョン社には、ミャンマーの大手メディア企業シュエタンルイン・メディア(Shwe Than Lwin Media Co., Ltd.、STLM)も出資しています。STLMは、クローニーと国連の報告書に名指しされているシュエタンルイン・グループの企業です。同グループはまた、2017年8月にラカイン州北部でロヒンギャ住民に対して始まったミャンマー軍の「掃討作戦」を支援するために、軍の求めに応じて寄付をした企業の一つであるとも指摘されています[10]。

STLMと、現在ミャンマー軍の支配下にあるミャンマーラジオテレビ(MRTV)との合弁事業であるミャンマー・インターナショナル・テレビジョン(MITV)は、2021年以降、ミャンマー軍のプロパガンダを行う役割を担っています。また、MRTV局の放送の強化にインフラを提供してもいます。ドリーム・ビジョン社は、STLMの地上波放送局「Myanmar National Television」(MNTV)を通じ、放送設備の整備も含めた日本コンテンツ発信事業に取り組むとされています。ミャンマー軍のプロパガンダを担う企業のチャンネルで、日本の官民ファンド出資事業がミャンマー向けに日本のコンテンツを紹介するこの構図は、ミャンマーの人たちの目にどのように映るでしょうか。

 私たちは、ドリームビジョン社出資における各社のシュエタンルイン・メディア社との提携に関する質問状を、各社・関係機関に送付する予定です。日本政府は、人権侵害に加担する恐れの非常に高いこれら官民ファンドの出資を止め、どのように撤退をするか説明する義務があります。最近、会計検査院の検査で、官民ファンドの6割が赤字であることが明らかになったばかりですが、赤字のトップはJOIN、回収できないおそれがある出資が最も大きいのはクールジャパン機構となっており[11]、これらファンドは日本の国民に損失を与えてもいます。このような状況をより多くの方に知っていただくため、またミャンマー軍を利する官民ファンド事業からの責任ある撤退と説明を日本政府に求めるため、官邸前でアクションを行います。

*注

[1]ロイター.「ミャンマー国軍、地震後の停戦期間中も攻撃継続 民間人犠牲」(2025.4.25)
https://jp.reuters.com/world/security/RTTLYXPQ6RNKLO5Q4TAMHJAJ34-2025-04-25

[2] Progressive Voice. “Aid Accountability Essential After Quake" 
https://progressivevoicemyanmar.org/2025/05/03/aid-accountability-essential-after-quake

[3] Myanmar Now. “One month on: Mandalay struggles with quake aftermath and junta neglect" (2025.4.28)
https://myanmar-now.org/en/news/one-month-on-mandalay-struggles-with-quake-aftermath-and-junta-neglect/

[4] JOIN. 「ヤンゴンの博物館跡地再開発事業」
https://www.join-future.co.jp/investments/achievement/index.php?c=investment_view&pk=1603170043

[5] JOIN.「2023年決算について」
https://www.join-future.co.jp/about/financial-statements/pdf/about-the-settlement_2023.pdf

[6] https://www.mlit.go.jp/kokusai/content/001766358.pdf

[7] JBIC. 「ヤンゴン博物館跡地再開発プロジェクト」
https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/projects/51689.html

[8] Justice For Myanmar. “WHO PROFITS FROM A COUP? THE POWER AND GREED OF SENIOR GENERAL MIN AUNG HLAING" 
https://www.justiceformyanmar.org/stories/who-profits-from-a-coup-the-power-and-greed-of-senior-general-min-aung-hlaing

[9] プレスリリース:制裁対象のミャンマー軍所有企業と関係する日本の企業、政府貿易保険機関、 官民投資ファンドはミャンマーの港湾事業から責任ある撤退を.
http://www.mekongwatch.org/PDF/pr_20250514.pdf

[10] 国連のミャンマーに関する独立国際調査団による報告書 “Economic interests of the Myanmar military” に関する最新情報 (2019.9.9)
https://www.ohchr.org/sites/default/files/Documents/HRBodies/HRCouncil/FFM-Myanmar/EconomicInterestsMyanmarMilitary/Update_FFMM.pdf

[11]「官民ファンドにおける業務運営の状況に関する会計検査の結果について」
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/kobetsu06/r070516.html

呼びかけ団体 

メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)、アジア太平洋資料センター(PARC)

問い合わせ先   

国際環境NGO FoE Japan Email: info@foejapan.org 電話: 03-6909-5983

#ミャンマー軍の資金源を断て これまでの要請・アクション

・2021年3月4日 【要請書】日本の対ミャンマー公的資金における国軍ビジネスとの関連を早急に調査し、クーデターを起こした国軍の資金源を断つよう求めます(35団体賛同)
・2021年4月1日 【共同要請書】ミャンマー国軍を利する日本政府の経済協力事業を直ちに停止するよう求めます(19団体賛同)(4月8日更新版:10団体賛同追加)
・2021年6月1日 【共同要請書】日本政府はミャンマーに対する経済協力事業の全面的な見直しを(42団体賛同)(6月7日更新版:2団体賛同追加)
・2021年8月1日 【共同声明】 ミャンマー:クーデターから半年 日本政府は国軍の暴挙を止めるための具体的な行動を(20団体賛同)
・2021年9月15日 【要請書】イェタグン・ガス田開発プロジェクトからミャンマー国軍に資金が流れないよう早急な措置を求めます
・2021年4月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 外務省前アクション
・2021年4月9日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 官邸前アクション
・2021年4月13~19日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ 連続アクション報告:日本の7政府機関・12企業への要請・アピール
・2021年5月13日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ ミャンマーでの通信遮断=人権侵害をやめて!KDDI、住友商事前アクション報告
・2021年5月21日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ ストップODA!ダイ・イン @ 外務省前
・2021年6月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ 「日本政府は Act Now!」官邸前アピール
・2021年6月18日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ 人権侵害に加担しないで!ミャンマーでのガス事業 経産省・JX石油開発・三菱商事前アクション報告
・2021年7月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ 「ジェット燃料の軍事転用はない?」ENEOS前アクション /「独自のパイプ、錆びてませんか?」官邸前アピールの報告
・2021年8月2日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ クーデターから半年。ミャンマー追悼と希望の集い @官邸前 ~ 自由と未来と民主主義のために!
・2021年9月2日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ オンラインセミナー「クーデターから7ヶ月 現地情勢と日本の経済支援を振り返り、これからを考える」
・2021年10月1日(荒天により10月5日に順延) #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ クーデターから8ヶ月@官邸前アクション 新政権はただちにミャンマー経済支援の見直しを!
・2021年11月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 官邸前アクション ミャンマー情勢を見続けて9か月 新政権は今度こそ経済支援の方針転換を!
・2022年2月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 国軍によるクーデターから1年 日本政府に署名提出/官邸前アクション
・2022年3月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て イェタグン・ガス田開発から責任ある撤退を! 経産省・ENEOS・三菱商事前アクション 
・2022年3月22日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ オンラインセミナー「日本関与のイェタグン・ガス田からの資金を問う」 
・2022年4月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ミャンマー国軍が得する経済支援?まだ続けるなんて嘘でしょ ー 官邸前アクション 
・2022年5月13日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ オンラインセミナー「脅かされるミャンマーの少数民族の命と暮らし 悪化する人権状況の報告」 
・2022年6月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 土地の賃料が国軍に?! 日本政府はYコンプレックス支援の即中止を ー 官邸前アクション
・2022年6月15日 #ミャンマー国軍の資金源を断て クーデターから500日 ツイッターアクション
・2022年7月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 日本政府が秘密裏に国軍と「友好的な協議」?! 国軍への経済協力はあり得ないー 官邸前アクション
・2022年7月1日 内閣官房内閣審議官のミャンマー訪問に対する抗議と要請
・2022年8月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て  日本政府はミャンマー国軍とお友達のままですか?ー総理官邸前アクション
・2022年9月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て  人災は止められる 日本政府はイェタグン・ガス田から早期撤退と安全な閉鎖を!ー総理官邸前アクショ(雨天のため中止)
・2022年10月4日 #ミャンマー国軍の資金源を断て  これって「国際協力」ですか?日本政府は実施中の対ミャンマーODAを止めて!ー 外務省前アクション
・2022年10月4日 【要請書】日本政府の対ミャンマーODAの停止を求めます
・2022年11月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ミャンマー追悼と希望の集い~日本政府はミャンマー国軍と手を切って!ー 官邸前アクション
・2022年12月5日 #ミャンマー国軍の資金源を断て  大事なことなので何度でも言います!- 日本政府は実施中の対ミャンマーODAを止めて!ー 外務省前アクション
・2022年12月5日【要請書】日本政府の対ミャンマーODAの停止を求めます
・2023年2月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て  クーデターから2年 ~ 官邸前アクション「日本政府は対ミャンマー政策の再構築を!」
・2023年2月1日【共同声明】クーデターから2年 日本政府は対ミャンマー政策の再構築を
・2023年4月7日 #ミャンマー国軍の資金源を断て  日本政府はミャンマーに対する人権外交の実現を!ー官邸前アクション
・2023年6月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 日本政府は、ミャンマー国軍の残虐な国際犯罪を止める側に立って!-外務省前アクション 
・2023年8月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て  ミャンマー・クーデターから2年半実はASEANに丸投げ?日本の対ミャンマー政策は矛盾だらけ-官邸前アクション
・2023年10月3日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 新外相にもお伝えします!再び、対ミャンマー政府開発援助(ODA)の停止を求めます-外務省前アクション  
・2023年10月3日【要請書】改めて日本政府の対ミャンマーODAの停止を求めます
・2023年12月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て ミャンマー軍を利するODAと公的資金供与事業の停止を求めます-官邸前アクション
・2023年12月1日【要請書】「ミャンマー軍を利するODAと公的資金供与事業の停止を日本政府に求めます
・2024年2月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て クーデターから3年 今こそミャンマー軍を利する日本からの資金の流れを止めるべき!ー官邸前アクション

・2024年4月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て 嘘でないなら裏がある? ミャンマー軍を利する日本の公的資金を止めて!ー官邸前アクション
・2024年5月28日 #ミャンマー国軍の資金源を断て オンライン署名「日本政府にミャンマー軍を利するODAと公的資金供与事業の停止を求めます」11,210筆提出 ー官邸前アクション 
・2024年8月1日 #ミャンマー国軍の資金源を断て クーデターから3年半 繰り返し、日本政府にミャンマー軍を利するODAと公的資金供与事業の停止を求めますー官邸前アクション
・2024年10月1日 #ミャンマー軍の資金源を断て 国際協力70周年 ミャンマー軍を利する「協力」ではなく困難な人たちに届く援助を今すぐ! -外務省前アクション
・2024年10月4日【要請書】ミャンマーで困難な状況にある人びとに確実に届く国際協力を求めます
・2024年12月2日 #ミャンマー軍の資金源を断て 国会議員のみなさまにお知らせします ミャンマー情勢と日本のミャンマー「支援」の現在地ー議員会館前アクション

・2025年4月1日 #ミャンマー軍の資金源を断て ミャンマー軍のフェイク選挙に「NO!」を 日本政府に明確な意思表明を求めますー官邸前アクション

以上

 

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