インドネシア:ソロワコ・ニッケル鉱山開発・精錬事業とは?

開発と人権

1.   インドネシア:ソロワコ・ニッケル鉱山開発・精錬事業とは?

場所: インドネシア 南スラウェシ州 東ルウ県           

目的: ニッケルマットの生産、および、長期特別契約による日本への全量輸出(ヴァーレカナダ社(VCL)80%及び住友金属鉱山社20%)[i][ii][iii]

<鉱山>
・鉱業事業契約(Contract of Work : CoW)によるニッケル鉱業コンセッション
  = 南スラウェシ州70,566ヘクタール(ha)(2025年12月28日まで)[iv]
   (東ソロワコ鉱区、ペテア鉱区、西ソロワコ鉱区)   Cf. 東京23区の面積62,753 ha
・露天掘り
  =年間採掘面積は261.09 ha(2021年)(採掘総面積は5,303 ha)[v]
・採掘設備(2021年時)
  =鉱山用道路(453.7 km)、重機(掘削機24台、トラック105台)[vi]

※CoW期限満了後は、特別鉱業事業許可(IUPK)への切替更新を予定

<精錬所>
・ニッケルマット年間生産量(180〜200トン/日の生産可[vii]
  =72,237トン(2020年)、65,388トン(2021年)[viii]
  =2021年の生産量減少は、複数年にわたるデボトルネッキング・プログラムの一環で、電気溶鉱炉4を改修工事のために2021年12月中旬から運転停止しているため。
    改修完了後は、電気溶鉱炉4の生産能力は回復見込み。[ix]
・製造設備(2021年時)
  =乾燥炉(3基)、還元キルン(5基)、電気溶鉱炉(4基)、転炉(3基)、選鉱所(6基)、石炭粉砕機(1基)[x]
・関連設備(2021年時)
  =港湾設備(東ルウ県マリリ郡バランタン村)、燃料ターミナル(マリリ郡ハラパン村ランピア)、燃料パイプライン(48.8 km)、燃料貯蔵タンク(19基)[xi]
・発電所(2021年時)
  =ラロナ水力発電所(165メガワット(MW))、バラムバノ水力発電所(110 MW)、カレッベ水力発電所(90 MW)、ディーゼル火力発電所(30MW + 23 MW)

 ※ソロワコ近隣でリモナイト鉱石を利用するHPALプラントの建設計画も模索中[xii]

ソロワコ・ニッケル鉱山(2022年10月/WALHI南スラウェシ)
ニッケルマット製造設備(2022年10月/WALHI南スラウェシ)

事業実施者: ヴァーレインドネシア社(PTVI)
       出資者・・・ヴァーレカナダ(VCL)(43.79%)、
            ヴァーレジャパン[xiii](0.54%)、
            保有率5%未満の一般株主(20.64%)、
            PT インドネシアアサハンアルミニウム(PTイナルム)(20.00%)、
            住友金属鉱山(15.03%)

被影響住民: 事業者の定義による影響を受ける村=東ルウ県4郡計38村[xiv]
        ・ヌハ郡5村
        ・ワスポンダ郡6村
        ・トウティ郡18村
        ・マリリ郡9村

2.     日本との関わり

日本企業の関わり:

・住友金属鉱山

  • PTVIへの出資(15.03%)及びヴァーレジャパンへの出資[xv]
  • ソロワコで生産されたニッケルマット(品位75~80% 程度[xvi])の20%を長期特別契約により輸入[xvii]し、同社ニッケル工場(新居浜)で電気ニッケルを生産している他、電池材料にも利用される硫酸ニッケルを生産[xviii]

・ヴァーレジャパン(松坂工場)

  • (VCLを通じ)ソロワコで生産されたニッケルマット80%の長期特別契約による輸入[xix]

(ヴァーレジャパンは1965年にインコ社、志村化工、三井物産の3社で設立。その後、住友金属鉱山、住友商事、双日(旧日商岩井)、大同特殊鋼、日本興業銀行、日本冶金工業が資本参加してきたが、住友金属鉱山以外は2011年頃までに株式売却[xx]

3.     主な経緯

表:ソロワコ・ニッケル鉱山開発・精錬事業に係る主な経緯[xxi]

1920年代スラウェシ島東部での探鉱開始
1968年PT International Nickel Indonesia(PT INCO:PTインコ)設立。インドネシア政府と鉱業事業契約(CoW)締結(期間:1968年4月1日~1998年3月31日)
1972年日本企業による権益参入
1973年PTインコ、精錬所建設工事開始
1977年スハルト大統領(当時)出席の下で完工式
1978年PTインコ、ソロワコでニッケルマット商業生産開始。日本への輸出開始
1979年ラロナ水力発電所(165 MW)稼働開始
1990年PTインコ、初の公開株式20%売出(インドネシア証券取引所上場)
1996年PTインコ、CoW更新(期間:1995年12月29日~2025年12月28日)
1999年バラムバノ水力発電所(110 MW)稼働開始
2011年カレッベ水力発電所(90 MW)稼働開始
2012年PTインコからPTVIへ社名変更
2013年乾燥炉に投入する燃料のHSFOから微粉炭への転換開始
2014年PTVI、インドネシア政府と「鉱物及び石炭鉱業に関する法律2009年4号」(新鉱業法)で義務づけられているCoWの改正に合意
2020年PT インドネシアアサハンアルミニウム(イナルム)に株式20%売却完了
2025年12月特別鉱業事業許可(IUPK)への切替更新予定

4. これまでに指摘されている主な環境・社会・人権問題

(1) 先住民族の土地や伝統的な生活への影響

PTVIの現在のコンセッション地域は、カルンシエ、パドエ、イヒニアなど先住民族の慣習地と重なっているが、1968年の鉱業事業契約(CoW)締結前に説明や協議に先住民族が招待されたことはなく、先住民族の意思は一切無視した形で、PTインコとインドネシア政府のみで同地域を鉱業のために利用することを決めた。当時、住居、水田、畑、家畜の放牧地などを失ったにもかかわらず、今日まで補償を支払われていない先住民族は多く、補償を支払われた場合でも、少額の補償の受け取りを軍等に強要されたケースが報告されている。また、CoWの更新(1996年)や改正(2014年)にあたっても、先住民族が協議等に参加する機会を与えられることはなく、先住民族の慣習地はコンセッション地域に含まれたままとなっており、現在も社会紛争の種となっている。

先住民族はダマル樹脂、ロタンなどを森林で採ったり、畑、水田など農地を耕したり、山で野生生物の狩猟をしながら、自立した生活を送っていた。しかし、事業者の採掘作業により森林を伐採され、農地も奪われ、また残された森林は保護林として政府から利用を制限されてしまった先住民族は、伝統的な生活を送ることが難しくなっている。コンセッション内であっても、まだ採掘が行われていない農地では、野菜、果樹、クローブ、トウモロコシ、カカオなどの栽培、水田耕作、特に近年はコショウの栽培が続けられているが、PTVIの採掘作業の拡大に伴い、いつ強制立退きが起きてもおかしくない状況となっている。

先住民族の栽培するコショウ畑(トウティ郡/2022年10月)
先住民族が耕作を続ける水田(ヌハ郡/2022年10月)

同地域には、1950年代~1965年に起きた南スラウェシでの内乱によって他地域に逃れることを余儀なくされ、鉱山・精錬事業が始まった後にソロワコ周辺に戻り、初めて自分たちの土地が奪われていたことを知った先住民族も少なからずいる。特にドギ集落のカルンシエの人びとは、1957年にドギ集落を去り、1998年にスハルト独裁政権が倒れた後の2000年に同地域に戻ってきたが、住居があった場所には現ゴルフ場が、水田のあった場所には現空港が造られ、自分たちの暮らしていた集落は跡形も無くなっていた。18世紀及び19世紀の先祖の各墓地も、現PTVI(当時はPTインコ)労働者の住居地区の中にかろうじて残されている形であった。元々水田があった空港近くの場所に定住を始めたものの、当初のPTインコも現PTVIも、衛生的な水へのアクセスを遮断したり、現在約120家族が暮らす居住地域の周辺にフェンスを張り巡らせたり、カルンシエ・ドギの人びとを差別し、基本的人権すら認めていない状況が続いている。また時には、警察や警備員が来て、この地域から出ていかなければ逮捕すると脅すこともあった。水については自分たちで資金を出し合い、2020年から近隣の河川水をパイプで各戸に引いているが、降雨時には濁ってしまう同河川水を使わざるを得ない。

PTVI労働者の住居地区内に残されたカルンシエ・ドギの18世紀の墓地(ヌハ郡/2022年7月)
カルンシエ・ドギの人びとが現在利用している河川水。降雨時には濁ってしまう(ヌハ郡/2022年7月/WALHI南スラウェシ)

 将来世代の持続可能な生活のためにも、環境や社会に係る問題を再び起こさないためにも、まずは2025年の事業許可の切替更新の前にPTVIの採掘・精錬事業の評価が行われるべきである。また切替更新に当たり、先住民族の「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(free, prior and informed consent)」(FPIC)に基づく慣習地の返却を実現していくことが重要である。PTVIの事業地周辺に暮らす先住民族の衛生的な水へのアクセスを含む基本的人権の尊重も徹底させるべきである。

(2) 鉱山活動の拡大による農地の喪失

上段(1)で示したとおり、PTVIのコンセッション地域内であっても、まだ採掘が行われていない農地では、先住民族を含む農民が畑や水田(年2期作)での耕作を続けてきた。

ソロワコ周辺地域の住民にとって、縁故主義や技術・経験等の要件のため、また中高年にとっては年齢的な理由からも、PTVIや下請企業における雇用機会の獲得が決して障壁の低いものとは言えない中、継続的な収入源となる農地は極めて重要な生計手段の一つである。また仮に下請企業で雇用されたとしても賃金がそれ程高くない(月320万~650万ルピア程度。年間3,840万~7,800万ルピア程度)ことから、敢えて農業を生業として選択する住民もいる。特に2000年代に入ってから盛んに行われてきたコショウの栽培は、同地域の地質との相性もよく、またkg当たりの売価が比較的高いこともあり、食費や子どもの学校に通う必要経費など、住民の暮らしを支える重要な収入源となっている(1 haでコショウを栽培した場合の年間収入総額(グロス)の例:2~3 kg/本/年 × 2,400本/ha ×35,000~75,000ルピア/kg=1億6,800万ルピア~5億4,000万ルピア)。

しかし、PTVIのコンセッション地域と農地が重なっているが故に、PTVIの土地から立ち退くようにという警察や警備員からの脅し・嫌がらせなど圧力の下、汗水流して耕してきた農地をいつ奪われるか戦々恐々としながら耕作を続けているのが現状である。また、PTVI、政府、住民代表の三者間で2016年になされた合意では、コンセッション内でもすでに利用している農地は耕作を継続することが許容されたものの、コンセッション地域内で農地を拡大することは許されていない。PTVIの採掘地域が利用中の農地にまで拡張される場合、農民は立退かざるを得ず、補償金が支払われることになっているが、適時に支払われない、あるいは、耕作につぎ込んできた労働力や肥料等の必要経費を考慮すれば不十分な金額であるといった問題が報告されている。そもそも、金銭補償は数ヶ月で使い切ってしまうため持続可能な措置とは到底言えない。住民によれば、PTVIによって代替地が用意されたケースも、これまでのところ無いということだ。

採掘活動が拡大する中、取り残された形となっている農地(トウティ郡/2022年10月/WALHI南スラウェシ)
コンセッション近くのコショウ畑(トウティ郡/2022年10月)

鉱山開発後の土地はリハビリを行ったとしても、土壌の劣化で農地として利用することは難しい。2025年の事業許可の切替更新にあたっては、農民の協議への参加機会を確保しながら、住民の持続可能な生活を支える上で重要な農地を住民に返却する方向で話を進めていく必要がある。つまり、PTVIの現在の広大なコンセッション面積を縮小し、農地に適した未採掘地をコンセッション地域から除外していくべきである。

(3) 鉱山及び精錬所周辺の環境汚染

○湖への堆積と生態系への影響

 鉱山・精錬所周辺に位置する3つの湖(マタノ、マハロナ、トウティ)のうち、少なくともマタノ湖、マハロナ湖については、湖への堆積や湖岸での洪水の問題が報告されている。

マタノ湖では、豪雨時に鉱山用の沈殿池がオーバーフローして土砂が湖に流れ込み堆積している場所、また鉱山から精錬所へのアクセス道路直下の湖岸で1メートル程度の堆積が見られる場所などが確認された。漁師によれば、こうした堆積が起きている場所から魚類が移動するので、漁場もそれに応じて移動しているとのことだ。

 現地NGOインドネシア環境フォーラム(WALHI)南スラウェシは、3つの湖の汚染状況について、PTVI及び政府機関が環境監査を実施する必要があるとしている。

マタノ湖岸の堆積と鉱山から精錬所へのアクセス道路(ヌハ郡/2022年10月/WALHI南スラウェシ)
アクセス道路直下のマタノ湖岸の堆積(ヌハ郡/2022年10月)

○硫黄流出と沿岸の海洋汚染

2021年8月、マリリ川の河口に位置するモリ島付近で漁業を営む漁師などが、沿岸部での硫黄による環境汚染についてWALHI南スラウェシに報告した。WALHI南スラウェシはPTVIの事業活動に伴う環境汚染ではないかと疑い、PTVIにニッケル生産活動の一時停止を求めた[xxii]

地元の関係者の話によれば、硫黄を積載してきたバージをモリ島付近で洗浄した際に硫黄が流出したとのことであった。一方、この件について、住友金属鉱山はFoE Japanに対し、「PTVIと第三者機関の両者立会いの下、汚染されたとされる現地においてサンプリングと第三者機関における分析を実施。2021年9月20日の分析結果報告によれば、硫黄等の有害成分は検出されなかった」(2022年4月26日)と回答している。

なお、PTVIサステナビリティレポート2021[xxiii]によれば、「PTVIは、独立した公認の第三者機関に申立て内容に関する調査を依頼した。PTVIは、コミュニティ、PTVIの関連請負業者、村の職員とともに、モリ島の硫黄の除去作業を実施した。」との報告がなされており、硫黄の流出があったことを認める内容となっている。

○周辺河川や水源の六価クロム汚染

 PTVIが影響を受ける地域と定義しているヌハ郡、ワスポンダ郡、トウティ郡、マリリ郡の村で、FoE Japanが、コミュニティの利用している家庭用水8検体の水質を調査(2022年7月及び10月)したところ、トウティ郡アスリ村フェラリ地域でPTVIが採掘作業を行っている場所のほぼ直下に暮らす6家族が利用している湧水で、日本の環境基準(0.02 mg/L)及び世界保健機関(WHO)飲料水水質ガイドラインの基準値(0.05 mg/L)を超過する六価クロム負荷(0.05~0.1 mg/L)が検出された。同検体では、亜鉛も日本の水道法の基準(1 mg/L)の約2倍(1.98 mg/L)の値が検出されたことから、FoE Japanの調査に協力している専門家は、同湧水を「利用している住民への注意喚起が必要である。」としている。

PTVIの鉱山のほぼ直下で暮らす人びと。家庭用水として利用している湧水で六価クロム基準超過が見られた(トウティ郡/2022年10月/WALHI南スラウェシ)
六価クロム簡易検知管による検査結果。一番右が家庭用水として利用している湧水の検体(トウティ郡/2022年10月)

 また、FoE Japanが鉱山・精錬事業の現場周辺で河川の水質を調査(同上)したところ、2022年7月の六価クロム簡易検知管による検査時に、ラウェウ川(ヌハ郡ニッケル村)で環境基準を超過する値(0.75 mg/L)が見られた。今後、継続した調査が必要である。

PTVIの鉱山から流れてくるラウェウ川。降雨時には河川が赤茶色になる(ヌハ郡/2022年7月)
六価クロム簡易検知管による検査結果。右がラウェウ川の検体(ヌハ郡/2022年7月)

発がん性、肝臓障害、皮膚疾患等が指摘される毒性の高い重金属である六価クロムによる事業地周辺の環境汚染については、地域住民の健康被害等を未然に防止する観点からも、地元政府機関の甘い監視や規制の下、『ダブル・スタンダード』で公害輸出をするのではなく、日本国内と同等の基準を遵守するための積極的な対応をとることが、住友金属鉱山に求められる。

(4) 住民の懸念・苦情への抑圧的な対処と不当逮捕など人権侵害

 先住民族の権利の尊重、衛生的な水へのアクセス、コミュニティの農地に対する権利の尊重など上段で示したような問題への対処の他、農地を持たない青年層への雇用機会の確保をPTVIに求める住民らは、長年にわたり、抗議活動を繰り返してきた。しかし、PTVIは、そうした先住民族やコミュニティの要求への対処方法として、抑圧的で反対話的な方法を用いている。

 2022年3月1、2、10日に先住民族を中心に800人が参加したと言われる抗議活動では、7名が不当に逮捕・勾留された。3月10日、当初は平和的に抗議活動が行なわれていたが、PTVI側の警備員による挑発行動に応じて、PTVIの下請企業の一つであるPTトゥルバのバスが抗議中の住民側の列に突っ込むと、バスを停止させようと住民側も熱を帯び、制御不能の状況の中、バスの窓ガラスが割れる事態となった。そして同日の午後、住民らが再び抗議を始めると、住民間の調整等をしていた中心人物から逮捕され始めたのである。

PTVI正面ゲートでの抗議活動(ヌハ郡/2022年3月/WALHI南スラウェシ)
3月の抗議活動で不当に逮捕・勾留された住民。左からレナルディーさん、ニムロッドゥ・シバンティさん、ハムルラーさん、(マリリ郡/2022年3月/WALHI南スラウェシ)

 逮捕・勾留された7名のうち、少なくともリーダー格であった2名は、独房に入れられるなど精神的な苦痛を強いられた。またその家族も、子どもや高齢の親を一人で支えていかなくてはならないなど、経済的かつ精神的な負担を抱えなくてはならなかった。数ヶ月に及ぶ裁判の後、最終的には5名が有罪判決(6ヶ月収監)を受ける結果となり、無罪とされた2名も、検察側から控訴されている状況となっている(2022年12月時点)。

 このように先住民族を含む住民の「表現の自由」を著しく侵害している状況はあってはならないことであり、PTVI及び出資者である住友金属鉱山も、こうした人権侵害への加担を回避するための適切な対応が求められる。

(5) 気候危機を悪化させる化石燃料の利用継続

 PTVIのニッケルマット製造設備の燃料には、依然として石炭が利用されている。PTVIは、炭素排出2050年ネットゼロを目標に掲げたロードマップを発表し、その中で、乾燥炉や還元キルンの燃料を石炭から液化天然ガス(LNG)に切り替える計画を示している[xxiv]

 しかし、ガスの全ライフサイクルを含めた総排出量で見ると、ガスの炭素排出量は石炭と同等、場合によっては石炭以上であるとの分析もある[xxv]。ガスの主成分であるメタンは、ガスのサプライチェーン全体にわたり漏出しており、20年間でCO2の80倍以上の炭素を排出する。またLNGは、ガスを冷却し輸送のために液化したもので、そして使用前には再ガス化する必要がある。このプロセスは多くのエネルギーを必要とし、さらに多くの温室効果ガスを排出することになる[xxvi]

バランタン港湾設備。左側に積み下ろされた石炭が見える(マリリ郡/2022年7月/WALHI南スラウェシ)
PTVIのニッケルマット製造設備の敷地内にある石炭貯蔵場(2022年7月)

本案件に関する問い合わせ先:
国際環境NGO FoE Japan(担当:開発金融と環境チーム 波多江 秀枝)
     問合せフォーム

【脚注】

[i] PTVI年次報告書2021(https://www.vale.com/documents/44618/1371772/2021-Annual-Report-PT-Vale-Indonesia-Tbk.pdf/77c75fff-0f49-9391-20d1-09801314ab55?version=1.0&t=1667943478432 )p.75

[ii] PTVIサステナビリティレポート2021(https://www.vale.com/documents/44618/1373273/2021-Sustainability-Report-PT-Vale-Indonesia-Tbk-EN.pdf/e614c317-cd71-9043-6d30-eb0fdb9e6a6f?version=1.0&t=1667944286310 )p.11及びp.12「ニッケルマットはすべてVCLの管理する船舶で日本へ毎月出荷される。」

[iii] VCL 80%分は、ヴァーレジャパン松阪工場への輸出と推定される。(参照:https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/resources-report/2008-07/MRv38n2-09.pdf

[iv] https://www.vale.com/indonesia/about-pt-vale (参考:同CoWによるその他のニッケル鉱業コンセッションは、中スラウェシ州22,699 ha、南東スラウェシ州24,752 ha)

[v] 脚注2の資料p. 33, 34。年間リハビリ面積は283.74 ha(2021年)、未リハビリ総面積は2,054.10 ha。

[vi] 脚注1の資料p. 66

[vii] 脚注1の資料p. 66

[viii] 脚注1の資料p. 51, 52。2021年の生産量減少は、2021年12月から

[ix] 脚注1の資料p. 49

[x] 脚注1の資料p. 67

[xi] 脚注1の資料p. 66

[xii] 脚注1の資料p. 49。PTVIはこの他、中スラウェシ州バホドピでサプロライト鉱を利用し、ステンレス鋼の主原料となるフェロニッケルを生産する製錬所、また南東スラウェシ州ポマラアでリモナイト鉱を利用し、電気自動車(EV)用電池の材料となる中間製品を生産するHPAL(高圧硫酸浸出)技術を用いた製錬所を建設予定。

[xiii] ヴァーレジャパンのウェブサイト情報によれば、出資者は、ヴァーレカナダ(87.2 %)、住友金属鉱山(12.8 %)。(http://valejapan.com/?p=2502 。最終閲覧2022年4月。本ファクトシート作成時は閲覧不可)

[xiv] 脚注2の資料p. 48

[xv] 脚注13を参照

[xvi] 住友金属鉱山 統合報告書2022 (https://www.smm.co.jp/ir/library/integrated_report/pdf/2022/2022_All.pdf )p. 145

[xvii] 脚注2及び3を参照

[xviii] https://www.smm.co.jp/corp_info/location/domestic/nickel/

[xix] 脚注2及び3を参照

[xx] 脚注13を参照

[xxi] 参照:https://www.vale.com/en/indonesia/our-history-in-indonesia 及び脚注3参照資料、脚注1の資料p. 72

[xxii] https://eksplor.id/2021/08/24/mori-island-polluted-walhi-south-sulawesi-requests-pt-vale-indonesias-nickel-production-to-be-stopped/

[xxiii] 脚注2の資料p. 51

[xxiv] 脚注2の資料p. 26~29

[xxv] https://priceofoil.org/content/uploads/2018/01/JCEP_GHG_Final-Screen.pdf

[xxvi] https://priceofoil.org/content/up-loads/2021/11/LNG_factsheet1fin_v3.pdf

 

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