京都議定書の運用規則を定めた二年前の条約会議では、最後発開発途上国基金、特別気候変動基金、適応基金の三つの新たな資金援助機関が、条約の公式の資金機関、地球環境ファシリティ(GEF)の下に設けられました。
既に運用が始まっている最後発開発途上国基金に続き、特別気候変動基金が次回本会議で運用を開始することは既に昨年の本会議で決まっています。
しかし、この基金の優先対象や運用則はまだ詰められていませんでした。
今回の途上国提案では、適応への資金援助を最優先することを求めています。
排出量が急増する一部途上国では排出削減への支援も含めるべきとする日欧に対し、排出削減へのいかなる言及も受け付けられないとする途上国が対立、合意された交渉部会案では排出削減支援の可能性を僅かに残す表現に留まりました。
先の合意に沿って早急に運用を開始すべしとする途上国の意見で、12月本会議前の更なる国別意見提出や非公式交渉は削除されました。
適応の範囲は、急増する自然災害への予防能力強化のため、エネルギー関連のインフラや農業改革から廃棄物処理、生態系保護まで広範囲、深刻かつ潜在的に膨大な額に上ります。
先進国がよほどの巨額の拠出に合意しなければ、この基金は大海の一滴ともなりかねません。
この為、本会議期間中、政府間交渉と別に設けられた世界銀行、オランダ政府、欧州連合がそれぞれ開いた講演会で、先進国の開発援助政策に地球温暖化の悪影響への適応を組織的に組み込んで行く方向が示され、参加者の活発な議論を呼んでいました。
またこの関連で、別途議定書を作る、地球的な災害予防・救助の体制の可能性なども議論に挙がっています。