FoE Japan
気候変動とエネルギープログラム
気候変動とエネルギープログラム トップ トピック 資料室
気候変動とエネルギープログラム資料室ニュースマガジン“J-Equity”>vol.07
トピック
Vol.07(1 September 2002)
 
 
交渉大詰め:京都議定書部分の合意成立
 世界実施文書の閣僚級交渉において日本政府提案の気候変動と京都議定書にかかる文章が合意された。「共通だが差異ある責任」リオ原則の入った文面では議定書をまだ批准していない国への批准と年内の発行を目指すとする目標が盛り込まれている。これまでの気候変動枠組み条約の流れを踏まえた内容で何ら新しい点は含まれていないが、未批准国、特に議定書に反対する米豪へ向け批准を呼びかけていることや、当初言われた議定書と議定書以外の温暖化対策を併記するという米提案に妥協したものではない。FoEJAPANは日本政府のイニシアチブによるこの合意を歓迎する一方、政府がロシア等批准の意志を表明した国々への働きかけとともに、2010年後大幅な排出量削減が実現できるよう、実効ある国内温室効果ガス削減対策を早急に実施することが何によりも求められているという点を改めて強調したい。
 2日後の9月2日から始まる首脳会談前に政治宣言の草案づくりに本格的に着手するため、世界実施文書の閣僚級交渉は31日夕から翌日にかけ山場を迎えている。閣僚達はリオ原則(特に予防原則)と数値目標の二つのプロセスを設けた。前者は依然懸案として首脳レベルまで残る可能性があるが、後者は一連の目標をセットにしたパッケージ提案に基づく交渉で、EU、途上国など各ブロック別の相談を全体会議の合間に繰り返し交渉している。このパッケージ提案のなかで途上国側が得たいのは「共通だが差異ある責任」リオ原則の引用、淡水・衛生、そして援助(特に途上国の既存エネルギー部門)であるのに対し、先進国はWTOドーハ・プロセス、生物多様性保護、自主的取り組みの強調、債務救済などで国連開発資金会議のモンテレイ合意を越えないことなどを得るところにある。
 数値目標の協議の後、貿易と資金の第九章が閣僚級で取り上げられる事になっている。ほぼ合意に近いテキストがすでにできており、事務レベル交渉から閣僚級に上げるため最期の対立点である企業責任の部分の交渉が続けられている。企業への国際的規制に反対し自主的取り組みを強調する日米は、企業責任に関する国際制度創設につながる文面に強く反対していると伝えられる。
 先進国間での対立点は、京都議定書(米豪対日欧)と再生可能エネルギー目標(欧対日米)だが、前者が合意に達したということで、未合意のどの部分が、とりわけ米国に対する妥協として犠牲になったのか気になるところである。再生可能エネルギー目標について31日昼前に出されたG77提案の内容は数値を一切含まず、先進国から途上国への先進化石燃料技術による援助増額、自主的な地域ごとの再生可能エネルギー目標設定の過程を設けるという、産油国がそのまま書いた様な内容だった。京都議定書合意と引き替えにエネルギー目標でこのような大筋合意が既にあるとすれば、議定書の部分の合意は議定書の名前を残すだけで、むしろその趣旨に反する合意を助ける捨て石にされたということになろう。G77提案は議長が数値目標に言及することを求めたため、グループ内協議に差し戻しとなり、31日深夜までの時点ではまだ結果は本会議に報告されていない。
貿易交渉:各国大臣へのNGOレター
 第1週目は、実施文書において目を見張る成果は無かった。特に、貿易とグローバル化のテキストは持続可能な開発というサミットの目的が反映されていない。FoEなど国際NGO8団体(ECO Equity Coalition)は共同で、この問題のサミットでの扱われ方は根本的な姿勢と反するものであるとして、30日、各国大臣に対して公開レターを提出した。要求事項は以下の6点である。
財政危機、悪化する貧困、社会の内とそれぞれの社会の間に存在する排他性や不公平性、文化的多様性の喪失、そして自然環境への増加する負担など、経済のグローバル化によって発生した深刻な課題を認識し、こうした傾向を快方に向かわせる努力を行うことに同意する。
すべてのレベルにおける持続可能な開発のための政策の礎石として、予防原則を再確認する。
多国間環境協定(MEA)が貿易協定に対して従属的でないことを確保する。
法的拘束力をもった国際的枠組みをもって、市民の社会的・環境的権利が、企業による侵害から保護されることを担保する。
持続可能な開発に必要な貿易改革に関する約束のみを強調し、これらを実施するために、文書に目標や時限が含まれることを確保する。
最後発開発国(LDC)の特別なニーズと課題に考慮し、これらを規定する。
署名団体はサミットに真剣に取組んでおり、今後も変わることはない。しかし、持続可能な開発を達成できる枠組みの中において、貿易とグローバル化の交渉が行われることが示されない限り、この問題に関する交渉から離脱することを決定した。閣僚級交渉において意味のある結果を生み出すことができることを期待している。
(c) 2002 FoE Japan.  All RIghts Reserved.

サイトマップ リンク お問い合せ サポーター募集 English