今日29日から、閣僚級会合が始まった。しかし、リオ原則、ガバナンスなどは平行線のままで、依然として事務レベル協議が続いている。 地球サミットは、環境と開発に関する幅広い問題を取り扱うが、以下はサミットの主要な論点についての進捗状況のまとめである。
再生可能エネルギー・気候変動
アメリカ、日本などは、再生可能エネルギーについてあらゆる数値目標に反対している。ブラジルは、再生可能エネルギーを2010年に、一次エネルギー供給の10%にするとの目標を提案したが、大型水力を含むとの憶測がある。大型水力を含むことは、途上国で大型ダムの建設を促進し、社会的・環境的な影響を及ぼすことにもなりかねない。
京都議定書は、サミットの実施文書の中に記述されなければならず、2002年末までの発効を約束しなければならない。日本のNGOは27日、大木環境大臣に対し、日本が、議定書の発効を約束する記述を実施文書に残すことに支持するよう要求した。
貿易とグローバル化
現在のテキストでは、多国間環境協定が(MEA)がWTOの貿易ルールに従属するものではないことを確認する記述がなされていない。200以上のNGOがFoEIの要求を支持し、人々と環境を守る国際協定の自立性と権威をヨハネスブルクではっきりと確約されなければならない。エコラベル(遺伝子組み替え食品と明確なつながりがある)の問題も議論を呼んでいる。現在の文書では、取り組みは自主的なものであり、WTOルールの厳格な遵守を求めている。
10年前のリオサミットで合意された主要な原則である「予防原則」に関する文言が弱められる危険があり、現在の文書ではWTOルールに対して従属的なものとなることを示している。EUは貿易の章において、これを守り抜くことが出来ずにおり、「共通だが差異のある責任」に関しても、G77と先進国側との対立が続いている。米国の後ろ盾を受けたオーストラリアとカナダは、実施文書すべてにおいてWTOルールとの整合性を保つことに重点をおいているようだ。
企業責任
企業責任は、新たに3つの提案が出され、衝突が続いているが、どれも後退した内容となっている。EUとG77が共同提案を行うことになっていたが、結局合意に至ることが出来ず、EU独自の提案が出た。これに対して、G77も独自案を出してきた。そして米国は、以前のアッシュテキストの文言に逆戻りした。この米国提案は、完全に自主的な取り組みに留まっている。
これまでも、OECDガイドラインなど、自主的な取り組みはなされてきたが、多国籍企業による社会的・環境的な影響がなくなっていないことを鑑みれば、法的拘束力のある規制が求められる。
なお、日本政府は、多国籍企業の規制の必要性は認めてはいるものの、この米国提案を支持することを表明している。
アメリカ
アメリカは、地球サミットの進展にとって唯一最大の障害でありつづけている(日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(JUSCANZグループ)からもしばしば支持されているが)。
これまでのところアメリカは:
(1) 衛生についてのあらゆる目標設定に反対している。現在の国連の目標は、不十分な衛生環境にある20億の人口を2015年までに削減するとなっている。
(2) 海外援助についての先進国GNPの目標値設定に最後まで反対しつづけた。現在のアメリカのレベルはGNPの0.2%、EUは0.34%。モンテレーでの国連開発会議では0.39%に増やすことがコミットされている。
(3) 企業責任についての拘束力を持たせる合意や、合意をするためのプロセスを確立するような文言について、すべて反対している。
(4) 輸出信用機関(ECA)に対しての強力な環境・社会基準に対するあらゆる約束を削除させた。
(5) 実施文書への京都議定書の引用について反対しつづけている。とりわけ、2002年末までに議定書を発行するということに対しては強硬に反対している。
環境債務
先進国が途上国の環境や資源、コミュニティを搾取して引き起こされる環境債務の問題は、交渉においてまったく認めようとしない。FoEIは、先進国は環境債務を認識し、途上国に対してこの債務を返済するべきだと考える。