FoE Japan | 気候変動とエネルギープログラム

2007年12月11日

プレスリリース
Friends of the Earth International
World Rainforest Movement
Global Forest Coalition

バリ（インドネシア） 2007年12月10日
国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議（COP13）に参加する環境団体は本日、森林を温室効果ガス排出権取引市場に組み込むことを促進する世界銀行の新しいイニシアティブを拒否するよう各国政府に要望した。

森林炭素パートナーシップ基金（FCPF）と称される世銀のイニシアティブは12月11日（火）にバリにおいて、"森林減少・劣化による排出量の削減（REDD）"の議論の一部として発表される予定である。

このイニシアティブによって、熱帯雨林がカーボンオフセット※1の枠組みに組み込まれる可能性があり、先進国とその企業が自らの排出削減努力を怠る可能性があるため、気候変動対策としては失敗である。

世界レベルでの年間炭素排出量の18～20％が森林減少に起因するものであり、インドネシアは森林減少により世界第3位の温室効果ガスの排出国である。

世銀は、特に森林及び温室効果ガス削減事業融資に関して恐るべき前科がある。石油、ガス、鉱物採掘プロジェクトへ多大な資金提供を行っているのみならず、ブローカーとして炭素取引促進に既得権益を有しているからである。FCPFは深刻な環境社会影響を与えることになるであろうと環境団体は懸念している。

Friends of the Earth Indonesia (Walhi)のエネルギーキャンぺーナー、Torry Kuswardohono氏のコメント：
"カーボンオフセットは、非常に不公平である。森林は10億人を超える先住民族や他の森林に依存する人々に生活の糧を提供している。富んだ国々や企業は、開発途上国の貧しい地域住民が不利な立場に追いやられる中、森林管理の長期商業契約により温室効果ガスを排出し続ける権利を購入することができるのだ"

Global Forest Coalition大洋州地域メンバーのPacific Indigenous Peoples Environment Coalition代表のSandy Gauntlett氏のコメント：
"温室効果ガス削減事業への融資メカニズムを基盤とした森林関連の気候変動緩和プロジェクトの本当のコストは先住民族及び地域住民が負担することになるだろう。なぜならそれらのプロジェクトにより彼らの土地と縄張りへの脅威は高まり、土地所有権の主張が無視されることになるからである。世銀はこの提案により、先住民族の権利に関する国連宣言にて言及されている"Prior Informed Consent（情報を十分与えられた上での事前の合意）"の原則に違反していることになる"

World Rainforest MovementスポークスマンのAna Filipini氏のコメント：
"開発途上国における温室効果ガス削減事業への融資メカニズムは、将来的に森林関連の「カーボンクレジット」の利益を獲得しようとする大企業に森林が譲渡又は売却される結果をもたらす。現在の（世銀の）提案は、先住民族や他の森林に依存する地域社会の権利、特に女性の権利を無視した中で、高い森林減少率の国々やその伐採企業、アブラヤシ生産企業が富むように仕組まれたものである"　

森林減少問題には以下の緊急かつ本質的な対策が必要である：