日本のNGO7団体からの書簡 内閣総理大臣 福田康夫 殿
2008年1月17日
FoE Japan 環境エネルギー政策研究所(ISEP) 「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 気候ネットワーク
グリーンピース・ジャパン WWFジャパン 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA) 拝啓 私たちは、日本で気候変動問題に取り組む環境NGOです。 新春のご挨拶を申し上げると同時に、私たちは、本年2008年は、洞爺湖サミットを控え、日本にとって重要な年であると考えていることを申し述べさせていただきたいと思います。 特に、福田総理大臣におかれましては、1月23-27日に開催されますダボス会議に出席されるとお聞きしました。この会議に出席されることは、G8の議長国として、気候変動問題についての日本の姿勢を国際社会に向けて大きくアピールすることが出来る絶好の機会です。 ご承知の通り、洞爺湖サミットの大きな議題の一つとして、気候変動問題があります。世界で最も排出量の多い国々が集まり、京都議定書以降の世界的な取り組みについて、2005年より話し合いを行ってきたグレンイーグルス・ダイアローグの結果報告を受ける、と言う重要な任務を負っていることを始め、洞爺湖サミットでの合意を、国連気候変動枠組み条約や京都議定書のもとでの2013年以降の国際的取り組みに関する交渉プロセスを加速させることにつなげていくことが、G8でこの問題を話し合うことの重要な意義と私たちは考えております。 そのため、G8議長国のデビューの場であるダボス会議において、福田総理大臣にその演説の中でぜひとも触れていただきたいのは、2020年までの日本の総量削減目標に関してであります。 ご存知のことと思いますが、先ごろインドネシアのバリで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議及び京都議定書締約国会議(COP13/COPMOP3)において、日本が数値目標に対して非常に消極的であったことが、国際的に大きな非難を受けました。最終的に、アメリカも参加する条約の下での決議文に直接数値目標は入らなかったものの、IPCCの第4次報告書第3作業グループ報告の中で必要な削減数値目標が述べられている部分が、脚注に入れられました。また京都議定書のもとで行われている特別作業部会(AWG)の決議文の中には、はっきりとIPCCの報告書が勧告している、2020年までに先進国の取り組むべき削減量の幅に関する文章が詳細にピーク年とともに入れられ、日本政府もそれに合意しました。 これを受け、今日本政府に求められているのは、その中で日本は国別総量削減目標を維持するのか、どのくらいの削減量を目指すのか、それに向けて今何をするのか、と言う点であり、この点に関して、日本政府はいまだ明確な発言はしていません。それゆえ、ダボス会議での福田総理大臣の発言に世界は注目しています。ここで日本の中期的な総量削減目標に触れる発言がないと、洞爺湖サミットへの期待はしぼみ、日本はこの問題でリーダーシップが取れないとみなされかねません。 ぜひ、日本が国別総量目標を維持することを明言するとともに、日本の中期目標としての2020年総量削減目標について、その場で具体的数値はあげられないとしても、「G8での議論素材として、できるだけ早く発表する」と言うような発言をしていただけるよう、お願い申し上げます。原単位目標、セクター別目標、効率目標などは、国別の総量削減目標があってこそのものであり、追加的なものであるべきです。 気候変動は、加速的に進んでおり、年ごとに被害も増大しています。被害を最小化する努力のため、そして洞爺湖サミットの成功のため、ダボス会議でのご発言に私たち日本の環境NGOのみならず、世界中が大きな期待をしております。どうかよろしくお願い申し上げます。 敬具 連絡先:
FoE Japan:岡崎時春 TEL: 03-6907-7217 FAX:03-6907-7219 環境エネルギー政策研究所:大林ミカ TEL: 03-5318-3331 FAX:03-3319-0330
「環境・持続社会」研究センター(JACSES):足立治郎 TEL:03-3556-7323 FAX:03-3556-7328 気候ネットワーク: 浅岡美恵 TEL:
075-254-1011 FAX: 075-254-1012、平田仁子 TEL:03-3263-9210 FAX:03-3263-9463 グリーンピース・ジャパン:鈴木真奈美:TEL:
03-5338-9800 FAX.03-5338-9817 WWF ジャパン: 鮎川ゆりか, 山岸尚之 TEL: 03-3769-3509 FAX:03-3769-1717
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA):早川光俊 TEL:06-6910-6301 FAX:06-6910-6302 |