2002年6月4日
日本の京都議定書批准にあたって
FoE Japanは本日の閣議決定と国連条約事務局への受諾書送付により、日本の京都議定書締結手続き完了を歓迎する。欧州連合はすでに3日早く同様の手続きをすませており、ロシア及び東欧諸国の速やかな批准による議定書の速やかな発効を望む。日本政府には世界最大の温室効果ガス排出国である米国の議定書批准への圧力を引き続き願いたい。
政府は今年に入り地球温暖化大綱を見直したが、2004年の次期見直しまで国内対策の中核は産業界の自主行動と非現実的な原子力の急速な利用拡大を柱とするとしている。日本のエネルギー起源のCO2排出は2000年までに1990年に比べ10.2%も増加している。つい最近、中央環境審議会は炭素税の議論を始めたが、これも2004年以降に導入を検討というきわめて消極的な内容である。炭素税は効果的な施策であるが、その導入と実際の効果が現れるには少なくとも数年はかかる。FoE Japanは今すぐに本格的な導入のための議論を始めない理由はないと考えている。
日本の産業界リーダー達の考え方にも変化の兆しが現れており、議定書批准延期・反対から責任と新しい機会ととらえる見解が出されている。日本経済団体連合会奥田新会長などビジネスリーダーの前向きな見解の今後に注目したい。政府は日本の排出量の大半を占める産業界へより積極的な施策導入を図るべきである。京都議定書下での排出削減量は気候変動を止めるどころかほんの少しスローダウンするだけの効果しかないことを忘れてはならない。
日本は世界で唯一、一貫して環境条約に法的拘束力を持たせることに反対し続けている国である。国連気候変動条約や政府自身の閣議決定でもある2000年までに1990年レベルまで排出量を抑えるという自主目標は失敗に終わった。今回の締結に際しても保守党と産業界との間でこの件について議定書に法的拘束力を持たせないよう覚書が交わされているとも言われる。今後危険な気候変動を避けるためにはさらに突っ込んだ排出量削減が必要だが、このような取り組みは自主的なだけではとうてい間に合わない。FoE Japanはこのような大切かつ大きな変革の必要性をビジネスリーダー達の手のみにまかせることはできないと考える。議定書を含め、今後の環境条約が政府に国際的な法的責任を負わせる拘束力ある条約となることは地球環境の将来にとって不可欠である。(※)
FoE Japan
気候変動プログラム
(※)京都議定書の法的拘束力の位置付けは議定書発効後の最初の議定書締約国会合で決められるが、日本の反対により難航が予想されている。
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