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ソンドゥ・ミリウ
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ケニア、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業の見直しに関する質問に対する答弁書
内閣衆質一五四第一八五号
平成十四年九月二十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎
衆議院議長 綿 貫  民 輔 殿
衆議院議員保坂展人君提出
 ケニア、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員保坂展人君提出ケニア、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業の見直しに関する質問に対する答弁書
一及び三について
ソンドゥ・ミリウ水力発電計画(以下、「本件計画」という。)に係る発電所が完成し、導水路にソンドゥ川の水を転流する際には、転流に伴うソンドゥ川の流量減少による生態系等への影響に配慮し、事業実施機関であるケニア電力公社が、乾季においても河川維持のために必要な流量を確保することとなっていると承知している。計画上の河川維持流量については、事業実施機関、事業実施業者、地域住民、非政府組織(以下、「NGO」という。)及び有識者から構成される本件計画に関するにおける技術委員会(以下、「技術委員会」という。)における論等も踏まえ、事業実施機関が近々見直しを行い、技術委員会においても検討に付されるものと承知しているが、仮に、現在の計画上の河川維持流量が変更されたとしても、過去の季節的な流量変動等にかんがみれば、その程度が大幅なものになるとは想定されず、発電量に与える影響は限定的であると見込まれるので、本件計画の経済性は確保し得るものと考えている。
御指摘の水供給プロジェクトに関しては、我が国の支援によって実施されているものではないが、本件計画の実施地域に対して、当該プロジェクトの当初計画どおりの水供給が行われていない状況にあり、この問題の改善等を含めて技術委員会で引き続き議論されていると承知している。また、前述の計画上の河川維持流量の見直しに際しては、当該プロジェクトの進捗状況も考慮されるものと承知している。
二について
マウ森林については、自然環境保護等のため、ケニア共和国(以下「ケニア」という。)の国内法に基づき、ケニアの環境天然資源省によって管理されており、昨年二月十六日にケニア政府によりその一部につき森林指定の解除の方針が官報で公示されたと承知しているところ、昨年十一月に現地及び本邦の専門家の協力を得ながら国際協力銀行の行った調査によれば、ソンドゥ川集水域内の南西マウ森林において予定されている森林指定解除が実施された場合の影響につき、河川流量、土砂体積の観点から、森林管理体制や過去に実施された森林指定解除による影響等も含め検証した結果、現状において本件計画に影響が及ぼす可能性は少ないとの結論に達していると承知している。今後のマウ森林をめぐる状況については、我が国としても関連情報の収集に努めるとともに、必要に応じケニア側に適切な対応を促す考えである。
四について
一般に円借款案件に関しては、入札は競争入札によることを原則とし借入国の調達手続きについて規定する国際協力銀行のガイドラインに従って実施されていること、また、借款の貸付けの実行は事業の出来高に応じ適切な証拠書類に裏付けられた請負業者からの契約に基づく支払請求を受けて行われていること等、不正防止のための措置はとられている。
御指摘の本件計画の住民移転に伴う保障に関する汚職については、技術委員会における議論を経てそのような事実はないことが確認されており、昨年七月に作成された技術委員会の報告書においてもその旨明記されている。また、本件計画の雇用における賄賂の問題については、地元住民の指摘を受けて技術委員会において議論された後、同報告書に盛り込まれた勧告に従って事業実施機関において責任を持って改善措置がとられているものと承知している。
以上を踏まえ、現在のところ、本件計画に伴う資金の流れについては、前述の様々な不正防止のための措置に加えてお尋ねのようなモニタリング体制や監査システムの導入等を行うことを具体的に検討しているわけではないが、今後、前述の改善措置の実施状況を含め、事業実施機関による本件計画の適切な実施につき注視していく中で、必要に応じ、我が国としても適切に対処してまいりたい。
五について
御指摘の「地元の活動家三名」が具体的に誰を指すのかは必ずしも明らかではないが、ケニアのNGO関係者であるアーグウイングス・オデラ氏が、ケニア国内において不法侵入等の疑いにより公訴が提起されていることは承知している。右の件に関しては、現在ケニア国内において刑事裁判手続が進行中であり、事実関係等については右の手続の中で明らかにされるものと承知しているが、右のようにオデラ氏につき公訴が提起されていることをもってケニアにおける基本的人権及び自由の保障状況に問題があると判断するのは適当ではなく、したがって、第二期借款の供与決定に先立ちオデラ氏の公訴の取下げを確認する必要があるとは考えていない。
六について
本件計画の事業実施機関であるケニア電力公社は、土木工事の実施前から、本件計画の内容に加え、住民の生活への影響等に関する説明を地域住民に対して行ってきており、これらの影響等に対しては、補償方法や補償内容等についての関係住民との協議及び交渉を経て、補償手続はほぼ終了していると承知している。また、補償手続の前には、関係住民に対して、補償金の使途等についての啓発を図るための説明会が開催されていると承知している。さらに、事業実施機関は、今後とも定期的に地域住民との話合いを行っていく予定であり、住民の移転後の生活状況について、技術委員会での議論等を踏まえ、モニタリング及び評価を実施していくものと承知している。我が国としても、引き続き必要に応じ事業実施機関に対して適切な対応を促していくこととしたい。
七について
御指摘の「今月一月の住民集会以来ようやく把握されてきた問題」が具体的にどのような問題を指すのかは必ずしも明らかではないが、本件計画の自然環境及び地域社会への影響については、ケニア側が本件計画全体に係る環境影響評価等を作成したことを受けて、海外経済協力基金(当時)が「環境配慮のためのOECFガイドライン」に照らして審査を行い、ケニア側が行うべき環境社会面の措置として、河川維持流量の確保、移転住民への配慮等があることを当初より確認している。その後も、昨年二月の国際協力銀行による環境社会調査ミッションの派遣、昨年六月の外務省担当課長による現地調査等の措置を政府及び国際協力銀行は実施してきている。
今後、円借款案件を実施するにあたっては、国際協力銀行が本年四月一日に策定、公表している「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」の基本方針を踏まえ、引き続き環境社会面への影響に適切に対処してまいりたい。
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