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これまでの活動・動き
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「ニッケル製錬拡張計画 環境保護地域の指定解除は可能か?
―地元環境団体から日本企業に対する疑問と反対の声」 (2006.9.14) |
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フィリピン・ニッケル製錬事業の拡張計画
環境保護地域の指定解除は可能か? 地元環境団体から日本企業に対する疑問と反対の声
住友金属鉱山が今年3月に発表したフィリピン・パラワン島でのニッケル製錬所
の拡張事業。現在、その操業段階で必要となるニッケル鉱の確保ができない可能
性が出てきている。ニッケル鉱の新たな採掘予定地とされているパラワン州バタ
ラサ町のブランジャオ山では環境保護地域に指定されている区域があり、地元住
民および環境団体から反対の声があがっているためだ。地元パラワン州では、ブ
ランジャオ山での鉱山開発の是非がすでに議論され始めているが、その結果によっ
ては、第2工場建設計画に対するフィリピン政府の環境許可(天然資源環境省に
よる環境適合証明書:ECC)の発行にも支障が出ることが予想される。
住友金属鉱山が54%出資する合弁会社コーラル・ベイ・ニッケル社(CBNC)(そ
の他、三井物産、双日が出資)は、2005年4月から第1工場での生産を開始。現
在、年間、ニッケル量で約10,000トン、コバルト量で約700トンのニッケル・コ
バルト混合硫化物を生産し、愛媛の新居浜ニッケル工場に出荷している。拡張事
業では、これと同規模の第2工場を建設し、年間生産量をニッケル約20,000トン、
コバルト約1,400トンに倍増させる計画だ。2009年4月から20年間の生産を見込ん
でいる。
同事業は、「ニッケルの回収が困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケ
ルやコバルトを回収する技術」を売りにしてきた。従来は、採掘したニッケル鉱
のうち高品位のもののみが利用されていたが、同事業では、リオツバ・ニッケル
鉱山社(RTNMC)が20年間にわたり採掘してきたニッケル鉱のうち、同鉱山およ
びその近傍に放置されてきた低品位ニッケル酸化鉱が原料とされている。住友金
属鉱山の発表によれば、第2工場の原料も同様とされている。
しかし、現在、CBNCとRTNMCの両企業は、「ブランジャオ山での新たに採掘され
たニッケル鉱が第2工場で利用される」とし、地元パラワン州バタラサ町の一部
の政治家らとともに、ブランジャオ山の環境保護地域の指定解除に躍起になって
いる。
ブランジャオ山の一部区域は、フィリピン共和国法7611号(パラワンのための戦
略的環境計画法:SEP Law、1992年制定)9条1項で定められている「コア・ゾー
ン」、つまり、「最大限の保護を受ける地域」として、徹底かつ厳重な保護が要
求されている地域だ。鉄樹(地元名:Mancono)という伐採禁止種の古樹が生長
している地域であり、持続可能な開発パラワン評議会(PCSD)の用意している
ECAN(環境上重要な地域ネットワーク)マップでも、コア・ゾーンとして分類さ
れてきた。現在、そのECANマップの修正を地元バタラサ町評議会がPCDSに求め、
その動きをCBNCなど企業側が後押ししている形となっている。
しかし、そうした動きに対し、地元の環境団体からすぐに反対の声があがった。 「CBNCとRTNMC両企業の誠実さと公正さに大きな疑問を抱いている。企業側が同
事業の重要性を主張していることを鑑みれば、企業側が工場の操業に必要なニッ ケル鉱量の見込み違いをするというのは信じがたい。むしろ、企業側は当初から、
第2工場を含む同事業にニッケル鉱の追加供給が必要であることを知っていて、 その需要に応えるためにブランジャオ山の保護地域を開発するつもりだったのだ
ろう。」環境団体は、PCSDに対し、「ECANマップを修正しない」よう求めている。
また、ブランジャオ山周辺で暮らす地元バタラサ町の先住民族パラワンや農民の
中からも、自分たちの生活への影響を懸念する声があげられている。彼らは、6
月23日、173名が署名した要請書をPCSDに提出し、ブランジャオ山の鉱山開発に
関する自分たちへの協議がなされていないにもかかわらず、バタラサ町評議会が
企業の鉱山活動に対し、安易に妥協していることを非難した。また、自分たちの
生活や農業に利用している川の水源地帯であるブランジャオ山での鉱山開発に懸
念を示し、ブランジャオ山での鉱山開発を許可することのないようPCSDに求めて
いる。
環境保護地域の指定解除が必要とされ、地元住民の生活の糧に大きな影響を及ぼ
す鉱山開発計画を「環境面で責任ある行動をとる」と表明して押し切ろうとして
いる企業側に対し、環境保全に熱心なパラワン州の地元住民・NGOが冷ややかな
視線を向けているなか、住友金属鉱山を始めとした日本企業の真摯な対応が求め
られる。
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