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ミンダナオ石炭火力発電所
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FoE Japan 現地レポート 「地元が求める慎重なJBICの融資検討」  (2003.07.16)
2003年7月16日


ミンダナオ石炭火力発電所の建設に「NO!」

 地元が求める慎重なJBICの融資検討
 国際協力銀行(JBIC)が国際金融等業務で融資を検討している石炭火力発電所計画に、現在、地元の住民やNGOグループから反対の声があげられています。

 事業を推進するのはフィリピンとドイツの現地合弁企業。日本からは川崎重工、日商岩井が同事業に参画することとなっています。発電される電力(210メガワット)は、フィリピン電力公社(NPC)が25年間、買い取る契約となっており、その後、発電所がフィリピン側に移譲されることとなります。発電所の建設予定地は、フィリピン・ミンダナオ島北部の中心都市カガヤン・デ・オロ市から約20キロメートル東にあるヴィラヌエバ町で、約3000ヘクタールにもわたって広がるフィビデック工業指定地域のなかに位置しています。

 しかし、現地に一歩足を踏み入れると、「工業指定地域」という名から連想される光景はどこにもなく、そこには見渡すかぎりのコーン畑が広がっています。また、海岸沿いには漁をしている小さな漁船を見つけることもできます。そこは、農業や漁業で生計を立てている人々が大勢暮らしている「工業指定地域」なのです。そして、その彼らのコーン畑の中に発電所(約55ヘクタール)、送電線、水供給パイプラインが、また、彼らの漁場であるマカハラー湾沿いに、石炭積み下ろし用の埠頭を建設するというのがこの火力発電事業です。地元では、この事業計画の話を受け、2001年から反対運動が続けられています。
 

州庁舎前での抗議活動
 <州庁舎前での抗議活動>
 「ミンダナオに石炭火力発電所はいらない!」と書いたバナーを掲げる地元の住民とNGOグループ(2003年6月30日 FoE Japan撮影)


発電所建設予定地
 <発電所の建設予定地とその周りに広がるコーン畑>
 フィビデック工業指定地域内の建設予定地はすでにフェンスで囲まれているが、そのすぐ外で
はコーンの栽培が続けられている。(2003年6月27日 FoE Japan撮影)

漁船
 この漁船を使い、毎日、朝早くから夕方まで漁に出る人々は多いという。(2003年6月27日 FoE Japan撮影)

魚
 マカハラー湾沿いでとれた魚を家の店先で売っている。(Looc村)(2003年6月27日 FoE Japan撮影)

州知事との会談
 州庁舎前で抗議活動を続けるなか、地元の住民とNGOの代表は州知事と会談。レターを直接手渡した。(2003年6月30日 FoE Japan撮影)
   先月6月30日には、地元の農民・漁民のグループ、また、カガヤン・デ・オロ市の環境団体が地元のミサミス・オリエンタル州庁舎の前に集い、「NO COAL-FIRED POWER PLANT(石炭火力はいらない)」と書いたバナーを掲げ、抗議活動を行ないました。同グループは、州知事や州議会に充てたレターのなかで、

 (1)有毒廃棄物による健康被害の懸念
 (2)地球温暖化の原因である温室効果ガスの大量排出
 (3)マカハラー湾への温水の排出による漁業への影響
 (4)不十分な住民移転計画(補償の問題)
 (5)不適切な住民との協議
 (6)電力供給に関する代替案の存在(既存の水力発電設備の修復・改善等)

などの問題点を指摘。これらの懸念に関する調査を行ない、一度出した事業への承認を考え直すよう州に要請しました。

地元で反対運動が活発化するなか、JBICは現在、JBICの求める「環境社会影響への配慮」が事業者によって適切になされているかを確認する「環境レビュー」を進めています。新しい環境ガイドラインの制定により、JBICは融資要請のあったすべての事業を環境への影響の観点から、まず分類することになっていますが、この事業に関しては、JBIC自身も現段階で「環境への重大で望ましくない影響のある可能性を持つようなプロジェクト」と分類しています。現時点では、ガイドライン自体は部分施行(2002年10月以降。全面施行は今年10月から。)にとどまっていますが、地元での「建設反対」の声をしっかりと受け止め、新ガイドライ ンにも明記してある「影響を受ける地域住民や現地NGOを含むステークホルダーの参加」等の精神を最大限に適用した形での、慎重な融資の検討がJBICに求められています。



> 地元の住民・NGOグループがミサミス・オリエンタル州知事・議会に提出したレター(2003年6月30日)
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