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JBIC異議申立制度の設置に向けて
国会審議―参議院 環境委員会

<異議申立の受付時期及び情報公開について>

第155回国会 参議院 環境委員会 第2号 2002.11.07(木)

質問者 加藤修一 参議院議員
回答者 志賀櫻 国際協力銀行理事

◆加藤委員 
 アジェンダ21でも統合的な水管理という話がされているわけでありまして、これは政府もかなり積極的に検討の段階に入っていると思いますけれども、今の大臣の答弁も含めて、本当に水汚染が進まない、浄化が進むという、そういう施設を、人で言えば適材適所なんでしょうけれども、そういう方式をきちっととらまえてやっていただきたいと、そう思います。
 それで、実は大臣の発言を読ませていただいて、「持続可能な」という言葉がそう多くはないページの中に実は六か所ございました。やはり、持続可能な社会、持続可能な地球をどうやって作っていくか、地球の再生ということも考えていくならば、どういう開発の在り方が大事だかということについてはやはりもっと積極的に考え方を詰めていかなければいけないと、そう思います。
 大臣の発言の中にも、国内の取組と同時に国際協力という、そういう視点もございました。今日は、JBIC、国際協力銀行に来ていただいております。お手元に配付資料が回っていると思いますし、それから、国際協力銀行が総力を尽くして作ったというふうに言って私はいいと思いますけれども、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドラインということで、これ極めて評価できる国際的にも評価の高いガイドラインになっていると私は認識しております。さきのWSSDの会合で、サイドイベントの関係でございますが、グローブ・インターナショナルでもこのセッションを持ちまして、各国から来ている方々が非常に高く評価をしていただきました。
 ただし、私は画竜点睛にはなってはいけないなと思っていますけれども、これについて、例えば異議申立て制度というのが当然あるわけでありますけれども、この異議申立て制度をどういうふうに作るかによってはこのガイドラインの中身が担保されるされないという話にもなりかねないなと、そういうふうに思っております。
 私は、まず第一点目は、契約をする前の段階でこの異議申立てを受け入れるような、そういう制度が望ましいと、こういうふうに思っているわけなんですけれども、JBICは、それについては契約後にやるべきでなかろうかと、そういうスタンスを取っているわけですけれども、なぜこれ契約前で異議申立てを受けたら駄目なのかということが私の非常に質問を強く言いたいところなわけでありまして、これは財務省も外務省もやはり契約前にやることが望ましいという方向を打ち出しておりますし、私もやはり様々な難点があるならば契約の前にその難点を解消させておくことが大切であると。
 ですから、異議があるならば契約の前に異議を出してもらって、その異議を解消させるということが極めて私は合理的な判断だと思いますけれども、この辺について、JBICの担当の方、よろしくお願いします。

◆志賀政府参考人
 紛争解決の制度の設計といたしまして一つのモデルとして考えておりますのは、行政事件訴訟法と行政不服審査法の関係でございます。行政事件訴訟法は第三者機関たる裁判、司法権による解決ということでありまして、行政不服審査法はインハウス、自分たちの機関の中での異議申立て、不服申立て、これに対する審査をするわけでありますところ、不服審査制度そのものはやはり行政処分という形で意思決定がなされたことに対して行われる仕組みという制度設計になっておるわけでございます。
 我々もこれにならったインハウスの紛争解決の手段としての異議申立て制度を設計しておるわけでございますけれども、契約の調印という形で意思決定がなされた段階でその仕組みが働き出すということが制度の設計として通念なのかなという理解でございます。
 ただ、御指摘の、その前からでも意見が通るようにしたらいかがかという御指摘につきましては、なるほどということ等がございまして、パブリックコンサルテーションでもそういう皆様方の御意見ございました。
 それで、現在の段階では少し、調印前に異議申立て受付担当部門に意見が示された場合、この場合には担当部門は当該意見を投融資部門に移送する、それからさらに総裁にも報告できるということにしていこうという形で、総裁が意思決定をする際に当該意見に対する投融資部門の対応が適切か否かを確認できる仕組みというものを導入しようかと思って、また案を進めているところでございます。

◆加藤委員 
 シンプルに言ってしまいますと、要は契約前に異議申立てを受け入れると、そういう制度として理解して差し支えないということでよろしいですか。

◆志賀政府参考人
 異議申立てという不服審査、行政不服審査に類似するがっちりした制度、仕組みには乗せないにしても、受け取った側からはその異議申立てがあったことが投融資部門及び総裁に伝達されるという仕組みにするということでございます。

◆加藤委員 
 明確にちょっと分からないんですけれども、要するに、ガイドラインは法的な拘束力を伴わないわけですね。ですから、ガイドラインというふうに表現していると思うんですよ。
 やはり異議がある場合について、これは非常に開発の行為をやっていく場合に環境汚染、環境保全が損なわれると、またおそれがあるという場合については、やはり事前にそういう異議がある場合については契約前であっても公的な国際の金融機関がやっているのはごく当然というふうに私は理解しておりまして、実際そういう事実があるわけでありますから、私は、国際協力銀行という極めて年間何兆円にも相当する融資等の業務をやっているわけでありますから、ましてやODA業務もやっているわけで、国民の税金がそういうところに使われているわけでありますから、やはり異議があるならばそれは契約前においてもやはり異議を認めるような、それを導入できるような制度をきちっと作るべきだと思います。がっちりという言い方がございましたけれども、私は、そういった意味ではがっちりとしたものを是非制度として作っていくべきでないかなと、積極的にそういった面については検討をしていただきたいと思いますが。

◆志賀政府参考人
 この点につきましては、今後もパブリックコンサルテーションで議論していく予定でございますので、引き続き議論を踏まえて検討していくこととさせていただきたいと思っております。

◆加藤委員 
 我々にとって積極的な意味ということで理解していきたいと思います。制度としてきちっと含まれると、そういうふうになっていくことを切に希望しておきたいと思います。
 それから、この関連で、申立書の関係でありますけれども、いわゆる情報公開の対象となる文書の手続の関係でありますけれども、これは配付資料のAの方になります。
 それで、ODA業務とやはり国際金融等の業務、企業がかかわってくるものについては、やはりその企業の秘密の問題、商業上のすぐには出せないような情報の関係もございますから、申立てが訴権の乱用的なことでない限りはそういうことも認めておいて、予備の審査の段階で乱用防止の審査があるわけでありますから、乱用でないという段階になったときには全面的な情報公開ということにすべきであると思いますので、もう時間がございませんので、簡単に御答弁をお願いします。

◆志賀政府参考人
  三点、手短にお答え申させていただきますが、まず、制度設計の問題、先ほど詳細に御説明申し上げたところでありますが、範としております不服審査というシステムにおいても、結果がきちんとするまでは単純には公開しないという形になっておることが一つでございます。それから第二点といたしましては、現在の情報公開制度のシステムの設計そのものに照らしましても、そのラインに沿った形に制度設計をしている所存でございます。あと、第三、申し上げますが、第三点は、借入人の競争上の地位とかその他の正当な利益、それから借入人との信頼関係の阻害という問題がある可能性があるということで、今のような制度設計をさせていただいております。
 三点、御説明申し上げました。

◆加藤委員
 終わります。

 




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