1月に発覚した再生紙偽装問題から早4ヶ月。この間、環境省ではグリーン購入法のもとで検討会を重ねてきましたが、その取りまとめ案が昨日(15日)に公表されました。
https://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9700
偽装問題への対応から、古紙や森林パルプ原料の利用、グリーン購入法のあり方まで多岐にわたる内容です。私たちがこれからどのように「紙」の環境を考えるかが問いかけられています。
取りまとめ案には偽装事件の実態調査の結果とこれに対する対応が説明されています。しかし何年にもわたって製紙会社幹部自身が認識していた悪質な偽装にもかかわらず、取られた処分は公正取引委員会からの排除命令だけ。一人の逮捕者も課徴金も一切ありません。ちなみに他の食品偽装事件では軒並み詐欺罪で逮捕されています。
また、私たち日本人は年間一人当たり250kg、世界平均の4倍以上もの紙を消費しています。そして使われているバージンパルプ原料の9割は輸入に依存していると言う極めて歪な状況です。国内の森林の半分を占める人工林が利用されずに荒廃する一方、私たちが使う紙の生産のために、いまでもインドネシアのスマトラ島で貴重な低地熱帯林が破壊されており、泥炭層からの膨大な炭素が排出されています。ラオスでは製紙会社の植林事業により土地を奪われ食料確保の手段を失った住民も出ています。
古紙の配合率をどうするか、環境に配慮したバージンパルプをどうするか、というようにグリーン購入法のもとでの紙の調達基準も大事ですが、それ以前に消費の抑制、再使用、再利用のいわゆる3Rの徹底が無ければ行けません。紙の消費量を抜本的に削減した上で、古紙の循環利用体制を一層強化していくべきです。しかるに現在の環境行政では、3Rの観点から紙の問題に対処する動きは全く見られません。
このような状況に対してFoE Japanは、本日(16日)、古紙問題市民行動ネットワーク、ナマケモノ倶楽部、日本消費者連盟、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)ら6団体と2個人の連名で、「持続可能な紙の生産・消費に関するNGO共同提言」を発表いたしました。
https://www.foejapan.org/forest/doc/080516_2.html
冒頭の環境省取りまとめ案について環境省ではパブリックコメントを募集しています(6月4日(水)13:00締切)。共同提言を参考にぜひ皆さん一人一人の意見を伝えてあげて下さい。取りまとめ案への意見は、氏名(及び会社名/部署名)、住所、電話番号、FAX番号、とともに、環境省総合環境政策局環境経済課宛(gpl@env.go.jp、FAX
03-3580-9568)にお送り下さい。
パブリックコメントは国民から行政ヘの意見を求めるものです。短くても、簡単なものでも、どんな意見でも良いです。一人一人の意見の積み重ねが環境行政を後押ししていく大きな力になります。