【声明】日立製作所の英ウィルヴァ原発事業からの完全撤退を歓迎「原発はもはや経済的にも社会的にも成り立たない。国際社会は脱原発を」

原発

原発輸出の問題点インドベトナムウェールズ

本日、日立製作所が英国ウェールズで進めていた原発新規建設計画から完全撤退することを決定したことを受け、国際環境NGO FoE Japanでは以下の声明を発出しました。ぜひご覧ください。


日立製作所は、本日英国ウェールズで進めていた原発新規建設計画から完全撤退することを決定した 。私たちは、日立がようやくこの決定をしたことを歓迎したい。もはや原発は経済的にも社会的にも成り立たない。日本政府や企業はこれ以上、限りある資源を原発に投入することはやめるべきだ。

日立は、英国ウェールズ地方北部アングルシー島で原発2基の建設を計画し、2020年代中の運転開始を目指してきた。本事業に対しては、日英両政府による公的融資や融資保証、投資なども取りざたされてきた。私たちは、東電福島第一原発事故によって明らかになった原発のリスクやコスト、地元社会に与える影響や自然破壊などの懸念から、現地ウェールズの市民団体とも連携し、この事業に反対し続けてきた。
日立は昨年1月に事業凍結を発表していた。日立が事業を凍結した理由として、出資パートナーが見つからなかったこと、これにより事業の枠組みを固めることができなかったことに加え、日立のビジネス上のリスクを十分下げることができない点が挙げられていた。

アングルシー島の地元の住民団体PAWB(People Against Wylfa B、ウィルヴァB原発に反対する人々)は、事業がアングルシー島の豊かな自然や文化を破壊するとして長年粘り強い反対活動を続けてきた。

PAWBのスポークスパーソンのロブ・イドリース氏は、「日立の事業からの完全撤退を歓迎する。原子力はコストもリスクも大きく、放射性廃棄物の処理方法も確立されていない。日立に対しては、(ウィルヴァ原発のために取得した)事業地を別の原発事業者に売却するようなことはしないよう求めたい。社会の脱炭素化は急務だが、原発以外にすでに解決策がある。再生可能エネルギーで英国にも日本にもさらに雇用を生むことも可能だ。最後に、この事業に反対し連帯を示してくれた日本の仲間や、福島原発事故により困難に直面している方々に尊敬と感謝を示したい。もうこれ以上原発事故で苦しむ人を生み出すべきではない。」

東電福島第一原発事故により、いまだに、ふるさとや生きがい、生業を喪失した人々の苦しみは続いている。
今でも日本政府は原発を維持しようとしている。福島第一原発の廃炉や賠償、除染にかかる莫大な費用は、広く薄く国民からも徴収されているばかりか、一部、託送料金を通じて長期間にわたり将来世代からも徴収されようとしている。ごく一部の人たちの利益のために、このまま原発にしがみつくことはあってはならない。いま必要なのは一刻も早い、原発ゼロの意思決定と、原発事故被害者の救済と脱原発のために政策的な資源を集中させることだ。また、国際社会全体として、リスクが高く、経済的な合理性もなく、解決不可能な核のゴミを生み出す原発から一刻も早く脱却し、持続可能なエネルギー社会を構築することが求められている。

※関連情報
 報告書発行「英国の原子力政策と日立のウェールズへの原発輸出の問題点」
イギリスですすむ日立の原発輸出ー公的資金で後押し!?市民に押し付けられるコストとリスク

映像>【日立・原発輸出】ウィルヴァ原発(8分52秒)

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