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インドネシア・バタン石炭火力発電事業
【プレスリリース】
日本が支援する海外石炭火力発電は高効率・低公害ではない
~日米首脳会談前に日米の環境NGOが共同調査結果を発表~
>プレスリリースのPDF版はこちら
4月28日にワシントンDCにて日米首脳会談が開催されるにあたり、両国の気候変動対策の問題に取り組んできた日米の環境NGO(気候ネットワーク、「環境・持続社会」研究センター<JACSES>、国際環境NGO FoE Japan、CoalSwarm、Friend of the Earth US、シエラクラブ)が共同で報告書「石炭はクリーンではない―検証:日本が支援する海外の石炭火力発電事業」を発表しました。
>報告書本文のダウンロードはこちら https://sekitan.jp/jbic/?p=968
オバマ大統領は、気候変動への取り組みとして2013年6月に海外石炭火力発電事業への公的支援を原則取りやめることを発表。米国政府はOECD諸国が同様の規制を導入するよう、OECDの交渉の場で提案しています。一方、日本政府は、石炭火力発電事業の高効率化・低公害化を図ることが必要として、石炭火力発電への支援を継続することを表明しています。
しかし、今回、日米の環境NGOが日本の公的金融機関である国際協力銀行(JBIC)の支援する海外石炭火力発電事業を検証したところ、日本が高効率化・低公害化に貢献しているとは言えない実態が明らかになりました。
石炭火力発電は高効率と言われる超々臨界圧であっても、他の設備に比べてCO2削減効果はわずかで、気温上昇を2度未満にするという国際合意に逆行します。日本政府は他のOECD諸国と共に、新規の海外石炭火力発電への公的支援を止めることに合意すべきです。以下、報告書の要約です。
1. 2010年以降に計画・建設されたJBICの支援する石炭火力発電のうち、超臨界圧のボイラー導入割合は62%、超々臨界圧は7%であったが、同時期に世界で導入された割合は、超臨界圧が36%、超々臨界圧が29%であり、JBIC支援事業は世界平均よりも低効率だった。 2. 日本政府は、東京大学公共政策大学院の調査結果を引用して、2007年~2012年に日本企業が輸出したアジアにおける事業の超臨界圧の割合(62%)よりも、中国企業が輸出した超臨界圧の割合(35%)が低いと主張している。しかし、中国企業が輸出する超臨界圧の割合は急激に上昇しており、2016年には85%程度になることが明らかとなった。 3. JBICが過去12年間(2003年~2015年)に支援した石炭火力発電所において、約半数の発電施設が脱硫装置を設置していないことが明らかとなった。PM2.5等の粒子状物質除去については、5分の4の設備の性能が不十分であることが明らかとなった。 |
<本件に関するお問合せ先>
「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 担当:田辺、03-3556-7325、tanabe@jacses.org
気候ネットワーク 担当:平田・鈴木、03-3263-9210、tokyo@kikonet.org
国際環境NGO FoE Japan 担当:波多江、03-6909-5983、hatae@foejapan.org
※インドネシア・バタン石炭火力発電事業に関する詳細はこちらをご覧下さい。
→https://www.foejapan.org/aid/jbic02/batang/index.html