報告内容 |
●ボホール灌漑事業
「3つのダムを建設して、10,000ヘクタールの農地を灌漑しよう」――1970 年
代に持ち上がった構想の下、日本の援助で進められたこの灌漑事業。1980年代か
らJICAによる支援が行なわれ、3つのダムが完成しましたが、ダムから恩恵を受
けるはずの地元の農民は、ダムからの灌漑用水の供給が十分でないことから、現
在、さまざまな問題を抱えています。(2009年に現地NGOが作成したドキュメン
タリー「マリナオ・ダムにおける隠された農民の動揺」も上映予定)
●北ネグロス地熱発電事業
40メガワットの発電を目的とした事業。着工前から環境面での懸念が挙げられて
いたにもかかわらず、1997年に日本の円借款を得て、建設工事が進められました。
建設中には、環境汚染、健康被害、農業被害、自然保護区への影響、移転住民や
地元農民の生活苦など、多くの環境社会問題が地元住民・NGO等から指摘されま
した。その後も、自然保護区に隣接するバッファーゾーン内への事業の拡張など、
環境社会面での地元住民・NGOからの批判が絶えません。
●サンロケ多目的ダム事業
JBICと日本の民間銀行団が1998年から9億ドルを融資し、丸紅と関西電力の出資
するサンロケパワー社が建設したアジア最大級のダム。水力、灌漑、洪水制御、
水質改善の機能をもつ多目的ダムですが、昨年、同ダムからの放水が洪水被害を
拡大させ、下流の住民の安全を脅かしたとして、地元の住民や自治体関係者から
大きな非難の声が上がりました。また、ダム建設によって、生活の糧を奪われた
地元の住民らは正当な補償を求め、今年1月にも抗議活動を行なっています。
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